山仁薬品株式会社
関谷 康子

　私たちは、滋賀県でシリカゲル乾燥剤の製造加工を行うメーカーです。
　会社の成長に伴い、社員の一体感を醸成し、経営理念を組織基軸とすることを目的に、一二年前に共に学ぶ会を導入しました。

　当初は思うように浸透しませんでしたが、大きな転機となったのが〝独自の工夫〟です。
　経営理念や行動指針、会社の方針に直結する自社オリジナルの設問を作成し、使い始めました。これにより、社員がテーマを「自分ごと・自社ごと」として捉え、主体的に意見を交わす雰囲気が生まれました。

　若い世代が増えた社内で、部門や役職の垣根を越えたコミュニケーションが活発化しました。
　「他の部署の人の考えがわかり、仕事がしやすくなった」という声も上がるなど、相互理解が深まり、風通しの良い組織風土が醸成されています。

　理念を共通言語とした勉強会は、もはや単なる学びの場ではなく、社員全員で会社の社風を創るためのコミュニケーションの場となっています。

株式会社ジャロック
武澤 広樹

　当社は福井県にて「金属を叩いて伸ばす」というスウェージング加工を得意とする機械メーカーです。
　お客様には地場産業である眼鏡をはじめ、自動車、釣り具、医療などさまざまな業界で採用していただいており、機械や部品を世界七カ国以上に輸出しています。

　『理念と経営』を学ぶきっかけになったのが、二〇〇六（平成18）年六月に「逆境！その時経営者は…」に当社を取り上げていただいたことです。その後紆余曲折を経て約二〇年間社内勉強会として毎月『理念と経営』の勉強を続けております。

　内容や仕組みなどを変えながら今日まで続けている目的は、自分と違う考え方を受け入れ、全ての事象を自分事として捉え、考える力・伝える力・共感力を高めていくこととしています。
　今年で創業六〇周年を迎える当社ですが、一〇〇年企業を目指し、世界に誇れる人財と技術を持った会社を全員一致で目指してまいります。

株式会社原田屋
原田 実穂

　当社は一九二三（大正12）年、初代社長がペルーから帰国後に始めた桐下駄製造販売店が祖業です。現在は山口市内で貸衣装店と結婚式場を運営しています。

　社是「実意を込めてすべてを大切に」と経営理念「花嫁の輝きを未来へ繋ぐ」を羅針盤とし、地域に根差した事業を展開しています。

　社員一人ひとりの成長や、経営理念の浸透、そしてコミュニケーションの活性化を目的として毎月開催しています。若手から幹部社員、役員まで幅広く参加し、自由に意見を交わせる場を通して、組織全体の一体感を育んでいます。

「多様な視点に触れることで、自分の仕事の価値を再発見できた」「他部署の考え方を知ることで連携がしやすくなった」といった声が上がるようになりました。

　互いの理解が深まり、新しい発想や改善案も生まれています。今後もこの学びを通じて皆で成長させていただきたいと考えています。

橋梁技建株式会社
平田 努

　当社は愛知県北名古屋市に本社を構え、東海・北陸・関西・関東にわたり橋や高速道路の安全設備の設計・製作・施工を行っています。当社の仕事は、その道を走行する人々の当たり前の安心・安全を守り続ける「安全環境創造業」として社会インフラを支え続けています。

　共に学ぶ会には経営理念「顧客満足・社員さん満足で地域貢献」の実現を加速させ、学ぶ社風を醸成する効果があります。会社の経営方針と本誌をリンクさせた設問によって理念と事業戦略の浸透を図り、委員会主導でオリジナル設問の作成やコメントバックを推進しています。

　当社の建設現場は日本各地にあり、社員同士に物理的な距離が生まれます。だからこそ、この共に学ぶ会で同じ学びを共有する事で相互理解を深め、心の距離をぐっと縮めて親密に関われる場づくりをしています。共に学ぶ会が社員の心のよりどころになるよう継続していきます。

株式会社田村写真館
田名網 勝

　当社は「テーマパークのような写真館」という事業コンセプトのもと、栃木県内で写真館と飲食店を経営しております。
　「理念と経営　共に学ぶ会」は月に一度行われる「社内研修」の場で行っており、ディスカッションのメンバーは勉強会当日にくじ引きで決めますので毎回違います。
多店舗展開をしている関係で、普段合わないメンバーも多くおりますので、この勉強会が社内のコミュニケーションの一助ともなっております。
　また設問表は社長の私が考えており、その時の社内の課題や共有したい価値観などを基にディスカッションをしてもらいます。勉強会終了後に感想を添えて私に送ってもらい、全ての設問表に赤ペンを入れて返却します。これも社員さんとの大切なコミュニケーションであり、価値観の共有にもつながると考えております。
　来年で二〇年を迎えるこの勉強会。これからもしっかりと継続していきます。

ソラーレ社会保険労務士法人
大谷 雄二

　当社は東京都品川区に本社、神奈川県横浜市に支店を構える社会保険労務士事務所です。
主な仕事内容は、労働保険および社会保険の手続き代行、労務相談、給与計算、雇用助成金の申請、就業規則や人事評価制度の作成です。
　「誰もが生き生きと働ける社会の実現に貢献する」ことを経営理念に掲げるソラーレにとって、『理念と経営』は優良企業の事例が学べる貴重な経営誌です。社風改善の工夫や現場での取り組みなど、社会保険労務士としてお客様に寄り添う上でとても参考になる内容が豊富に掲載されているからです。
　毎月の「共に学ぶ会」では、設問表の中から多数決で三つの設問を選び、九〇分間のディスカッションをしています。その後は、学びの場としての充実を図るためとスタッフのコミュニケーションを向上させるために、コンパと称して飲み会をしています。
　これからも「素直・誠実・明るく・元気・前向き・勉強好き！」をスローガンに、お客様の満足を追求するために学びを継続します。

二村自動車株式会社
二村　修司

　当社は広島市・東広島市で自動車の新車・中古車の販売、整備、鈑金塗装、保険、レンタカー、レッカーサービスなどの店舗を九店舗運営しており、創業から五四年になります。
　共に学ぶ会は、設問を通して自分の考えをまとめ、人に伝える力、人の意見を聴く力、新しい視点を受け入れる力を付けるため、そして、他社事例から自分自身、自拠点、自社を振り返るために導入しました。
　コロナ禍を機にリアル開催からオンライン開催に変更し、役職、職種、店舗の違うメンバーが五～六名ごとにグループとなり、幹部候補生がリーダーとなって三〇分間実施しています。
　当社は全社員が会う機会が少ないため、共に学ぶ会で年齢や経験、拠点の異なるメンバーとの交流を通じて、自分とは違う職種の仕事のやり方・考え方からたくさんの刺激と学びがあります。
　共に学ぶ会を辞めようかと検討したこともありますが、一七年間継続して学び続けたことは、自社の一番の魅力でもある社員の人間力向上につながっていると感じます。

SHODA株式会社
山中　健司

　当社は静岡県浜松市にあるＮＣルータ専門メーカーとして、来年創業一〇〇周年を迎えます。「世界一のＮＣルータ・メーカーになる」という壮大な目標の実現に向け、独創的な技術力を最大限に活かし、他にない世界最先端の製品を生み出し続けています。
　私たちの経営理念「愛と独創的な技術力で人々を豊かにし、尊敬される企業になり、社員全員で幸せになる」の実現のため、毎月一回一時間、全社員を六グループに分け活発な勉強会を開催しています。さらに、社外の方も招待し多角的な視点を取り入れています。社員の中から毎月交代でファシリテーターを選び、設問表の作成から共に学ぶ会の運営までを行ってもらっています。
『理念と経営』の記事を踏まえ、部署や世代の垣根を越えて白熱した討議を繰り広げています。設問もファシリテーターごとに特色が表れ、エンゲージメントや人間力、グローバル化、ＩＴ技術開発など幅広く深く掘り下げています。
　これからもグローバルＩＴ複合機械メーカーになるべく、「やらまいか精神」を持って共に学ぶ会を継続していきます。

株式会社ミクセル
島　幸司

　弊社は、大学などの研究機関への機材販売・コンサルティングを行う研究支援事業と、リハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」や「広島介護用品」を展開するヘルスケア事業の二つの事業を展開しています。
　共に学ぶ会は働く上での価値観形成やビジネスリテラシーを高める目的で二〇一四（平成26）年に導入しました。現在は社内研修としての開催ではなく、社員が運営する〝能力開発同好会〟が主体となって開催しています。
　新卒者は入社すると先輩に「同好会で一緒に勉強しようよ」と声をかけられますが、内定期間から共に学ぶ会に参加しているので、スムーズに同好会に入って学んでくれます。設問表も同好会が作成し、価値観形成につながる設問と、企業事例からそのビジネスモデルを図式化（構造化）する設問をそれぞれ設けるようにしています。
　参加者からは「別事業部と価値観共有ができて気づきがあった」「問題に直面した時に原因を分解し、解決できるようになってきた」との声もあり、“人間力”と“仕事力”両面の成長を実感しています。

株式会社ナスク
永田　能久

　当社は熊本県合志市に拠点を構え、総合建設業者（ゼネコン）のパートナーとして、木製建具・木製家具の製造から現場での取り付けまでを一貫して手がけ、七八年にわたりより良い建物づくりに貢献してまいりました。
　共に学ぶ会は、現場の職人が会社でコミュニケーションを取る機会が少ないことや、社内の部門ごとに物の見方や考え方が異なっている状況を踏まえ、価値観の共有や相互理解を深めるための場として導入しました。
　一〇年間継続する中で、経営理念をはじめとする大切な価値観の共有や、「さすがナスク！」というスローガンに基づく実践的な取り組みの共有など、この場だからこそ得られた学びが数多くありました。
　開始当初から全社員の参加と二時間の開催にこだわっており、部門を越えて交流することで、社員同士の心理的安全性を高める大切なツールにもなっています。
　今後は、現在の経営理念体系をさらに深めていくことにも重点を置きながら、共に学ぶ会を継続してまいります。