『理念と経営』WEB記事

今こそ、観光産業を変える大きなチャンスだ!

星野リゾート代表 星野佳路

経済活動に深刻な影響を与えている新型コロナ危機。特に観光業へのダメージは甚大だ。逆風が吹き荒れる状況にも、星野代表は「感染拡大は必ず終わる」と冷静に分析したうえで、コロナ後の世界をすでに見据えている。

企業が貢献すべきは「感染拡大の抑制」

 この数カ月ほど自分の経営力が試されているときはないと、私は思っています。ある意味で、経営者にとっては力の発揮のしどころです。
 今ここで、どう判断し、どう行動し、どう敏感に変化をつくっていくかが問われているのです。今私たちが日々経営判断することが、3年後、5年後に必ず評価されるに違いありせん。そういう意味でも、私自身、これまでに比べてはるかに経営者として活性化されている気がしています。
 今年、星野リゾートでは六つの宿泊施設などを新規開業する予定でした。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大の打撃が非常に大きく、5月20日開業の「星のや沖縄」は予定通り進めるにしても、半年先以降に計画していたものについては、このまま準備を進めるかどうかは現在検討しています。
 宿泊も三月は比較的好調な施設が多かったのですが、4月の緊急事態宣言後は大きく落ち込んでいます。需要は例年に比べて4分の1くらいになっています。
 東日本大震災の時は、地震が発生した3月11日から4月末までは需要が激しく落ち込みました。その落ち方は今回の緊急事態宣言以降の状況と非常によく似ています。このときは4月末に急速に需要が戻ってきました。東北は大変な状態が続いていましたが、それ以外の北海道や九州、関西などのマーケットがカバーしてくれたのでした。しかし、今回は緊急事態宣言が解消されても需要は急速に戻ることはないと思っています。
 ただ、ウイルス感染ですから、必ず終わりはきます。それは治療薬ができたときです。専門家の方々によると一年か一年半ということです。その意味で経営としては、この一年、一年半をどう乗り切るかということが最大の要件なのです。
 その間、私たちが絶対に防がなくてはならないのは医療崩壊です。そのために感染拡大をできるだけ抑制していかなければなりません。
 緊急事態宣言が出たときから、私たちは東京の2つのホテルの休館を決めました。それによって社員の通勤がなくなりました。東京のオフィスも、ほとんどの業務をテレワークに移行しています。東京だけで言うと、星野リゾート内では九割くらいの接触削減をしていると思います。
 今は企業としても感染拡大の抑制に貢献することが最優先で大事なことだと思っています。

取材・文 鳥飼新市
撮影   中村ノブオ

本記事は、月刊『理念と経営』2020年6月号「巻頭特別企画」から抜粋したものです。

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