『理念と経営』WEB記事
転ばぬ先の「認知バイアス」
2026年2月号
なぜ経営者こそ学ぶべきなのか

東京科学大学 リベラルアーツ研究教育院 講師 栗山直子 氏
「認知バイアス」という言葉を聞いたことがあるだろうか。人が物事を判断するときに、無意識の思い込みや偏りによってゆがんだ判断をしてしまう心理的な傾向のことだ。私たちはこのバイアスにより、誤った判断をしてしまうことが多い。そこで、本連載では、認知心理学を研究している栗山先生に、「認知バイアス」を味方につける方法をお伺いしていく。
そもそも私たちの
認知はゆがんでいる
「なぜあの時、あんな判断をしてしまったのか」︱経営者なら一度は、そう後悔した経験があるのではないでしょうか。
あるメーカーが5億円を投じた新製品開発。市場調査では否定的な結果も出ていましたが、社長は「俺の勘はいつも当たる」と押し切ります。
1年後、その製品の売り上げは計画の3分の1。「なぜこんなことに……」と社長は頭を抱えましたが、実はこれ、誰もが陥る「認知バイアス」の罠なのです。自分の考えを支持する情報ばかりに目を向け、都合の悪いデータを無視してしまった典型例と言えるでしょう。
認知バイアスとは、簡単に言えば「思い込み」です。情報を処理する時に、判断や記憶が合理的にできずにゆがんでしまう現象を指します。私たちは皆、思考にクセを持っており、現在170種類以上が確認されています。
心理学者のダニエル・カーネマンによれば、人間の思考には2つのモードがあります。彼が「システム1」と名付けた直感的・感情的な速い思考と、「システム2」と呼ぶ論理的な遅い思考です。
日常生活では、脳の負担を減らすためにシステム1が優位に働きます。道を歩いていて深く考えずに車を避けられるのも、このシステム1が働いているおかげです。
ところが困ったことに、このシステム1は重要な判断が必要な場面でも勝手に作動してしまいます。そのため、私たちは論理的な判断が必要な際でも「何となくこうだろう」と直感で決めかねないのです。
例えば、コイン投げで5回連続「表」が出た時、次は「裏が出やすい」と感じるのではないでしょうか。実際には、6回目も表と裏の確率は50%ずつ。過去の結果は未来に影響しません。
取材・文 栗下直也
本記事は、月刊『理念と経営』2026年2月号「転ばぬ先の「認知バイアス」」から抜粋したものです。
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