『理念と経営』WEB記事
企業事例研究1
2025年12月号
「変わらない価値」を守り続ける

株式会社ギンビス 代表取締役社長 宮本周治 氏
創業以来一貫して「焼き菓子」にこだわり続けるギンビス。子どもだけでなく大人にもファンが多い背景には、経営理念に基づく揺るぎない考え方と努力がある。
お菓子は平和を象徴する“必需品”
株式会社ギンビスは、創業95年の老舗ながら、近年、時流を見据える攻めた経営で注目を集めている。
香ばしさと歯ごたえが魅力の「アスパラガスビスケット」、動物型ビスケットに動物の英語名が刻印された「たべっ子どうぶつ」――。特にこの2つは、今や「国民的お菓子」と紹介して差し支えないだろう。しかし、その安定した人気にあぐらをかくことなく、「たべっ子どうぶつ」のキャラクターを活かした映画やキャラクターグッズをはじめ、味やパッケージに変化を加えた新商品を多数発売するなど、市場拡大に向けた動きを活発に行っている。
こうした動きを牽引しているのが、3代目の宮本周治さんだ。「変えない部分」と「変える部分」の両輪のバランスを取りながら手綱を握り、家業をさらに発展させようと奮闘する宮本さんが、何よりも大切にしているのは「お菓子に夢を!」という経営理念だ。
――経営理念「お菓子に夢を!」に込める思いをお聞かせください。
宮本 お菓子を通して世界の平和に貢献したい、と本気で思っています。先代から「お菓子業界は平和産業である」と教えられましたが、私自身は、社長になってから一層、この思いを強くしました。
お菓子にもいろいろなものがありますが、当社のスタンスは、安心安全でおいしく、手頃な価格のお菓子を提供すること。多くの人々の日常に「おいしいお菓子を食べる」という幸せなシーンが生まれてほしいと願っています。家族との団欒でよく食べた、遠足で友だちと分け合った、といった楽しい思い出と共に記憶に残るお菓子を作り続けたい。
ですから、「変わらない味」を守ることは当社にとって大切な根っこの部分。「また食べたい」と買っていただいた時に、「あの時の味と違う」とがっかりさせたくないですから。
お菓子は嗜好品と言われますが、私は必需品だと思っていますし、必需品と言われるようにしたいと考えています。平和な日常と共にあるのがお菓子なんです。とりわけ、世界情勢が不安定な昨今、「お菓子業界は平和産業である」という教えの意味を噛みしめています。
― 経営方針の「3つのI」についても教えてください。
宮本 経営理念「お菓子に夢を!」のブレイクダウンとしてInternational( 国際性)、Independent(独自性)、Instructive(教育性)という経営方針を掲げています。「たべっ子どうぶつ」で説明しますと、Internationalは「世界25以上の国と地域で展開」、Independentは「素焼きビスケットで46種類もの形状は、世界でも類を見ない取り組み」、Instructiveは「どうぶつの名称を英語で記載。子どもが興味を持ちながら単語も覚えられる」といったように、お菓子の存在意義を食品の枠にとどめず、プラスアルファの付加価値を乗せて、平和の象徴でありたいという思いを表しています。
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取材・文 中沢明子
撮影 富本真之
本記事は、月刊『理念と経営』2025年12月号「企業事例研究1」から抜粋したものです。
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