『理念と経営』WEB記事

Z世代のモチベーションの源泉

株式会社明治クッカー 代表取締役 西原 亮 氏  / 株式会社AgeWellJapan 代表取締役 赤木円香 氏

「高度経済成長期にがむしゃらに働いてきた先人たちを見習い、事業を通じて日本の国力を取り戻したい」

そう取材中に意気投合した経営者2人。しかし、現代の労働観は当時から大きく変容している。

Z世代を巻き込み、成果を出す〝強い組織〞にするためにはどんな心がけが必要なのか? ――〝超斜陽産業〞を承継して組織の大幅な若返りを果たした明治クッカー・西原氏と、シニア活躍支援のインパクトスタートアップをZ世代中心の組織で運営するAgeWellJapan・赤木氏との語らいから、その輪郭が見えてきた。

「比較」がZ世代のモチベーションを下げる

――両社ともに、メンバーに多くの若手を抱えています。自分やその他の世代とZ世代の違いを感じることはありますか?

西原 うちの場合、メンバーの約25%がZ世代です。他の世代と大きな差を感じることはありませんが、感情の共有の仕方に関しては気を付けています。

例えば僕は、良いアイデアを思いついて、「これ、めっちゃ良くない?」とハイテンションで若手に同意を求める時に、「めっちゃ良いですね!」というポジティブなリアクションを期待しがちです。でもZ世代の子たちはそういうノリではありません。こちらの感情を押し付けると、むしろ引いてしまうんですよね。

赤木 うちはAge-Well Designer(エイジウェルデザイナー)として働く大学生150名と本部の正社員を合わせて、約90%がZ世代です。私は学生ともよく話しますが、Z世代は自分の価値観に合わせて良し悪しを判断するので、人に媚びない子が多いんですよ。だから、社長に対してもいい意味でフラットなんです。“上から目線”に対する拒否感も強いから、できる限り目線を合わせて話すようにしています。

西原 そうですね、確かに媚びない。

赤木 加えて、自己肯定感が低い子が多いと感じています。物心ついた時からSNSがあって、世界中のいろいろな人の暮らしや生き方が目に入るから、否が応でも自分と比較してしまうんですよね。それで、常に自分に合っているのか、これでいいのかと悩まざるを得ない状況にあるのが原因だと思います。

西原 僕も若手の自己肯定感の低さは感じています。だからこそ、昔はこうだったという自分の過去との比較はもちろん、上司、同僚やさらに若い世代を含めて、誰かと比較することは徹底的に避けなきゃいけない。コミュニケーションルールで定めてもいいと思います。

赤木 もう一つ、“昭和世代”や"平成マッチョ系"と呼ばれる私たちとZ世代が明確に違うと思うのは、働くモチベーションが「稼ぐため」や「モテるため」ではないこと。「誰かのためになっている」という実感や、「自分らしいかどうか」を重視しています。だから、仕事もそれを意識して設計することが重要です。

西原 そこは、うちと真逆かもしれません。うちの若手は、まずは飯の種を稼ぐというスタンスですね。大半が高卒なので、スタートアップで働く大学生とはタイプが違うんだと思います。でもそれは当たり前で、「Z世代はこうだ」とまとめるのは無理がある。

赤木 うちの子たちもみんな「Z世代ってひとくくりにされたくない」と言っていますね。Z世代はやる気がないとか、すぐ仕事を辞めると言われますが、私はそう感じません。

“強い組織”にしたければ、正直であれ

――Z世代にも違いがある中で、「媚びない」「自己肯定感が低い」という共通点があるのは面白いですね。コミュニケーションで心がけている点があれば教えてください。

赤木 私は自己肯定感が低いことを前提に、すべての対応をするように意識しています。

西原 具体的には、どう接しているんですか?

赤木 例えば、……

取材・文 川内イオ
撮影 編集部


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本記事は、月刊『理念と経営』2025年11月号「特集2」から抜粋したものです。

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