『理念と経営』WEB記事
特集1
2025年11月号
自分たちを「説得」し、 「腹落ち」させて走り出せ

オイシックス・ラ・大地株式会社 代表取締役社長 髙島宏平 氏
生鮮野菜のネット販売からスタートし、急成長を遂げてきたオイシックス・ラ・大地。傍から見れば順風満帆とも思えるその歩みだが、実際は苦難や失敗の連続だったという。数々の困難を乗り越えながら体得した、髙島社長の「道なき荒野の歩き方」―。
道がないのだから、
足が痛いのは当たり前
―髙島さんが起業した当時は、インターネットで有機野菜を販売するという事業に対し懐疑的な見方が多かったと思います。それでも自信はあったのですか。
インターネットで社会をもっとよくしたいというのが私の起業の動機です。それで生活の根源の一つである食の分野をリサーチしたところ、多くの消費者が安全なものを探している一方で、安全なものを作っている農家は、ニーズがあるにもかかわらずビジネスがうまくいっていなかった。そこで、この買い手と売り手の分断という課題を解決しようと考えました。
もちろんアメリカで野菜のネット販売がことごとく失敗していることは知っていましたが、自分なりに失敗の原因を分析し、こうすればうまくいくとイメージできたから、事業化に踏み切ったのです。
―それでも最初から順風満帆というわけではなかった。
もちろん修羅場は数え上げればきりがありません。とくに1年目は苦労の連続で本当にきつかった。でも、よく考えたら道なき荒野を切り開いて進むのが起業じゃないですか。道がないところを行くのだから足が痛いのは当たり前、そんなのは始める前からわかっていたはずです。だったら楽しまないと損だと腹を括ったら、そこから気持ちが楽になりました。
だから、2年目に提携していた配送センターが突然業務停止して、会社が危急存亡の危機に見舞われた時も「ああ、これが起業家の本に書いてあったことか」と、わくわくしながら乗り切ることができたのです。
―しかし、起業家といえど失敗はできるだけ回避したいと思うのが人情では。
それができる人はそうすればいいでしょう。でも、私はごつごつした山を不器用に登るタイプ。要するに、自分のスタイルに合った経営をすればいいのです。
―2020(令和2)年には東証一部上場(現プライム市場)を果たし、売り上げも順調に拡大しています。成長の要因をどのように考えていますか。
私たちの携わる食の領域というのは非常に奥が深く、次々に課題が見つかります。それはビジネスチャンスに事欠かないということなのです。現在取り組んでいるがん患者さんの食事支援もそう。これまでは自宅ではこれを食べろで、美味しくて食べたくなる食を提供するということを誰もやってこなかった。だったら私たちがそれをやろうと事業化しました。成長はそういうことをずっとやり続けてきた結果です。
取材・文 山口雅之
撮影 伊藤千晴
本記事は、月刊『理念と経営』2025年11月号「特集1」から抜粋したものです。
理念と経営にご興味がある方へ
無料メールマガジン
メールアドレスを登録していただくと、
定期的にメルマガ『理念と経営News』を配信いたします。








![0120-519-114 [受付時間]平日9:00~18:00](/themes/assets/img/common/sp-contact-tel.png)






