『理念と経営』WEB記事

「周縁の地」を制して 大手に負けない繁盛店に

エリックサウス 総料理長 稲田俊輔 氏

インドカレー好きの聖地「エリックサウス」は南インド料理の専門店だ。マニアックなこの店を繁盛店に育てた稲田俊輔氏は「変態料理人」を自称し、飲食全般に関する著書を多数著す食の伝道師でもある。『ベジ道楽野菜をおいしく楽しむための偏愛ガイド』(西東社)『食の本 ある料理人の読書録』(集英社新書)と立て続けに新作を発表したばかりの稲田氏に、自身が考える「繁盛店の条件」を聞いた。

繁盛店のパターン分析

――ご著書の『お客さん物語――飲食店の舞台裏と料理人の本音』(新潮新書)や『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』(扶桑社新書)を拝読し、「繁盛店」にもいくつかのパターンがあるとわかりました。

おおまかに分類すると3パターンあります。チェーン展開しているお店、「地元じゃ負け知らず」のお店、食通の人たちに愛されながら、一般のお客さんにも支持されているお店です。僕が共同経営しているエリックサウスは、3番目に当たります。

――まず、お客さんはチェーン店に何を求めているのでしょうか?

最近のチェーン店は、安くておいしいものを出しています。その上でお客さんに提供しているものが、安心。個人店では、コミュニケーションを求められたり、常連だけが知っている暗黙の了解があったりしがちですよね。特に現代の若者は失敗を極度に恐れる傾向があるので、タブレットで何でも注文できるチェーン店は心地いいんだと思います。メニューはそんなにあか抜けないけど、若者も多く利用しているコメダ珈琲店がわかりやすい例です。

――これからチェーン展開を計画している経営者にとっては不可欠の要素ですね。

そうですね。中規模店やローカルのチェーンでは、その店独自のルールを知らない人でもストレスなく利用できる配慮がまだ不足していると感じます。大きく展開していく時には、その緩さを改善したほうがいいでしょう。

――「地元じゃ負け知らず」のお店とは?

地方都市の駅前にドミナント出店している、若手経営者の居酒屋グループがその典型です。彼らの特徴は、「組織が強い」ことです。

――なぜ「組織が強い」のでしょう?

地方の飲食店には、昔ながらの体育会系や先輩後輩のノリが残っています。都会ではもう見られない関係性のなかでスタッフが鍛え上げられているので、すぐにスキルが上がり、生産性が高まります。すごく強い組織がおいしいものを出して、クオリティーの高いサービスをするという当たり前のことをやっているので、繁盛するんです。

ただし、同じレベルの飲食店が溢れかえっている都市部で勝負するのは難しいでしょう。それがわかっているから、彼らもあえて都市部に出ようとはしません。

ターゲットは「周縁の民」

まず、僕は世の中を円形のフィールドでイメージしています。……

取材・文 川内イオ


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本記事は、月刊『理念と経営』2025年9月号「繁盛店の条件」から抜粋したものです。

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