『理念と経営』WEB記事
特集2
2025年8月号
人を生かす仕組みが社員を刺激

株式会社トレンディ茨城 常務取締役 谷萩寛子 氏
トレンディ茨城は、少人数体制ながら、茨城県内で主にヤクルト製品の広域配送を担っている。社員の定着率が低迷する中、その課題を解決すべく改革に乗り出した。どのような取り組みを行ったのか。間近で支えた谷萩常務に話を伺った。
配送ルートは“全員”で決めた
有給休暇が取りにくいような会社というのは、やっぱり問題があると思うんですね。かつては10%に満たないほどでした。こういう雰囲気の下では、新たな仕事へのチャレンジ意欲も湧いてこないんだと思います。
そうなると、せっかく社員が入社しても辞めてしまったりもする。運送業界特有の課題だった手書きの業務日報をデジタル化するといった取り組みだけでなく、もっと他にもできることがあるのではないか、と生産性向上の取り組みを進めたのが、2018(平成30)年でした。
1つは、配送ルートの標準化です。32あるセンターへの配送ルートは、個々のドライバーに任せていました。自分の好みで、あるいは、その日の気分でルートを決めていたんです。
ただ、これでは新人が入ったときに困る。ドライバーによって、指導するルートが違うからです。結果的に、一人前になるまでの時間がかかってしまっていました。「納品場所が決まっているのであれば、安全なコースを設定しよう」と統一に取り組みました。
気を付けたのは、運行管理者や上長が決めるのではなく、実際にトラックを走らせているメンバーに決めてもらうことでした。
週に2度ずつ業務終了後に集まって、10数人のメンバー全員で話し合う。結果として、7つのルートが決まりました。時間はかかりましたが、全員が合意をして決めたコースということで、愛着も持てたと思います。新人の教育も、標準化されました。
取材・文 上阪 徹
写真提供 株式会社トレンディ茨城
本記事は、月刊『理念と経営』2025年8月号「特集2」から抜粋したものです。
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