『理念と経営』WEB記事

21世紀を制する 「情緒」へのアプローチ

中田工芸株式会社 代表取締役社長 中田修平 氏

日本で唯一の木製ハンガー専業メーカー中田工芸。「ユニクロ」や「レクサス」といった有名ブランドとのコラボを果たし、世界からの注目度も高い同社だが、その背景にはハンガーの概念を覆す3代目社長の柔軟な思考があった。

ハンガーの可能性は想像を超える

服をかけるハンガーを人気のギフト商品に仕立て上げて大成功を果たした中田工芸。その立役者が、3代目社長の中田修平さんだ。

「もともと当社はアパレルメーカーやホテルなどを対象にした業務用ハンガーの製造・販売を手がけていました。ところが、1990年代前半にバブルが崩壊すると注文が激減。その渦中に2代目社長に就任した父の孝一は、個人にも販路を広げようとECサイトを立ち上げ、さらに2007(平成19)年には東京・青山にショールームを開設します。その運営を任されたのが、入社したばかりの私だったのです」

当時の中田さんにハンガーや小売りの知識はなかったが、代わりに彼は、大学卒業後7年に及ぶ海外生活で身に付けた広い視野と、柔軟な発想力という武器を携えていた。

「いくら中田工芸のハンガーが高品質だといっても、ただそれを飾っておくだけでは一般の人に関心を持ってもらえません。そこで、“NAKATA HANGER”というブランド名とロゴマークをつくり、それに『ハンガーはふくをかける』というコピーを添えました。『ふく』には『服』と『福』の2つの意味が込められています。実はこれ、創業者である祖父がよく口にしていた言葉でもあるのです」

その結果、ショールームを訪れる個人客の数は徐々に増えてきたが、訴求できたのはいわゆる感度のいい人だけ。BtoCを第2の柱にするにはもっと幅広い層に購入してもらわなければならない。ではどうする。ヒントは顧客の声にあった。

取材・文 山口雅之
写真提供 中田工芸株式会社


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本記事は、月刊『理念と経営』2025年8月号「特集1」から抜粋したものです。

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