『理念と経営』WEB記事
企業事例研究1
2025年6月号
ECの活用で地方でも 全国1位を目指せ!

株式会社イタミアート 代表取締役 伊丹一晃 氏
岡山市南区に本社を置く株式会社イタミアートは、のぼり旗で有名な企業だ。獅子奮迅の活躍を見せる伊丹一晃さんは、創業以来さまざまな苦難を乗り越えてきた。2024(令和6)年に上場を果たした同社の、力強い軌跡を追う。
コロナという逆境もいい勉強になった
広告やPR、販促関連グッズの製造販売で創業以来成長を続けるイタミアート。インターネットを使った商取引であるECを活用して、拠点を岡山市に置いたまま全国をマーケットに業績を伸ばしている。中でも主要商品の「のぼり旗」ではトップシェアを誇る。
1999(平成11)年に実家の6畳間を事務所に起業してから26年で、伊丹さんは自社を36億円を超える売り上げの会社に育てたのである。秘訣は「営業をなくしたことです」と語る。
―コロナ禍は、大変だったとお聞きしています。
伊丹 倒産するかも(笑)、と思いました。パタッと受注がなくなりました。それまで21億円ほどあった売り上げが、どんどん落ちて18億円を切るまでになりました。
なんとか仕事を維持しようと広告に通常の倍、月に3000万円くらいかけました。考えれば飲食店などの営業自粛でPRの仕事自体がないんですから、魚のいない池で釣りをしているようなものだったんですけど……。さらに、パートさんも集まらなくなって、代わりに派遣社員を依頼しました。派遣社員を100人入れると月に1000万円くらい経費が増えるんです。
―それは痛い出費ですね。
伊丹 はい。広告費の増加分と合わせて毎月2500万円。その分の経費だけで年間3億です。
半年か1年くらいでコロナは収まると思っていたんですが、収束に2~3年かかりましたよね。本当にやばいと思いました。
―確かに出口が見えませんでした。
伊丹 コロナ前は利益が出ていたので経費をあまり意識していなかったんですが、このままではダメだと細かい部分までコストを見直し、業者との交渉もシビアにやりました。それでも赤字になる。そんな中でいろいろやりくりして社員の給料はなんとか捻出していました。
コロナの流行と工場の新設工事を始めるタイミングが同じだったんです。工事を止める判断もできたんですが、いまの苦しさを抜けた時に真っ先に勝負をかけるためにも工事は進めようと思いました。この出費も大きかったですね。僕はマイナス思考なんです。最悪の事態を想定して、最後は本社を売ることまで考えていました。そういう意味でもコロナの経験はいい勉強になったと思っています。
―それはすごい覚悟ですね。
『理念と経営』公式YouTubeにてインタビュー動画を公開!
(画像のクリックをお願いいたします ※毎月20日公開!)
取材・文 中之町 新
撮影 丸川博司
本記事は、月刊『理念と経営』2025年6月号「企業事例研究1」から抜粋したものです。
理念と経営にご興味がある方へ
無料メールマガジン
メールアドレスを登録していただくと、
定期的にメルマガ『理念と経営News』を配信いたします。