『理念と経営』WEB記事

参加者の 課題に寄り添う 工場見学

株式会社パトライト 代表取締役社長 山田裕稔 氏

通常、工場見学といえば、一般人を対象にしているが、見込み顧客である法人限定の工場見学で、大きな成果を上げているのが株式会社パトライトだ。成功までの道のりに迫る。

「見える化」の障壁は見られたくない社員

2018(平成30)年に見学を受け入れ始めてから6年間で2200社、延べ8200人以上が訪れた工場がある。信号灯、表示灯、回転灯、音・音声合成機器などの報知機器を製造販売しているメーカー、パトライトの三田工場(兵庫県三田市)だ。

1947(昭和22)年創業の同社はパトカー、救急車など緊急車両の上部に取り付けられている散光式警光灯のメーカーだ。

同社は各種報知機器の技術にワイヤレスデータ通信システムを組み合わせ、2010(平成22)年より工場の稼働率の見える化を推進するIoTソリューションの提供を始めた。

例えば、工場のあるラインで通常運転中は信号灯の緑色が点灯、停止中は赤色が点灯するよう設定し、そのデータを集約すると稼働率が明らかになる。赤色が点灯する原因を分析し、生産性の向上につなげる仕組みだ。

このシステムの導入を検討している企業から多く寄せられたのは、「稼働している現場を見たい」という要望。

パトライトは当初、オートメーション化された工場での使用を想定しており、人間の手による組み立て工程が必要な自社工場には取り付けていなかったが、ニーズに応えるため、三田工場とインドネシアの工場に導入した。

すると、17(同29)年、人間が働く現場でも見える化は生産性の向上につながるのかを検証した際に、想定外の事態が起きた。同社の代表取締役社長、山田裕稔さんは、当時をこう振り返る。

「人の動きを可視化するということは、作業員の動きを監視、管理するということになるので、現場では反発が起きました。また、一つの作業を終えるたびにボタンを押すなどの工程が増えた結果、作業効率が低下しました」

ほかにも「ものすごく多くの失敗をした」という山田さんは、課題を一つひとつ改善した。

取材・文 川内イオ
写真提供 株式会社パトライト


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本記事は、月刊『理念と経営』2025年3月号「特集2」から抜粋したものです。

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