『理念と経営』WEB記事
特集2
2024年 12月号
まずは行動が大事 それから強みを生かす営業を

早稲田大学商学学術院教授 恩藏直人 氏
中小企業の営業は、トップ自らが営業できることが強みである。そう語るのは長年マーケティングを研究、営業についても膨大な調査に基づいた見識を持つ恩藏直人教授。強い営業力にはどのような体制が必要か。その要諦に踏み込む。
高い業績をあげている企業は、強い営業力を有しています。ところが、営業を扱った研究というのは、驚くほど少ない。その理由は、「営業」という概念が日本独自のものであるという背景があります。海外に比べ、日本の営業の仕事の範囲はとても広く、いろんな役割があるのです。
そんな中、営業力があると評価されている企業をピックアップし、営業体制の特徴を発見すべく、かつて調査を行ったことがあります。ヒアリングを行った結果、次の5つのキーワードを浮かび上がらせることができましたが、これはいつの時代も変わらないと思います。
(1)行動重視
理屈はさておき、まず行動することです。気合と根性という言葉は今どき流行らないのかもしれませんが、やはり営業では大事なこと。営業活動の成果には、打率のような一種の確率があるのも事実です。やはり数をあたっていかないと、成約には結び付かない。失敗も含めて経験をたくさん積み上げることで、営業のスキルも高まり、成約も増えていく。営業も楽しめるようになっていきます。
(2) 企画提案
提案型営業、ソリューション営業は、ますます求められるようになってきています。個人も企業も豊かになり、必ずしも自分から困りごとを見いだそうとしなくなってきている。そんな中で、「こんなものがあればいいのではないですか」という提案ができるかどうか。相手が考えてもいないような顕在化していないニーズを、いかにして掘り起こせるか。モノを売るではなくコトを売る、という表現が使われることもありますが、その実践のためには、人間性に加えて、知識や知恵、知見が求められます。
取材・文 上阪 徹
写真提供 本人
本記事は、月刊『理念と経営』2024年 12月号「特集2」から抜粋したものです。
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