『理念と経営』WEB記事
特集2
2024年 12月号
一人の仲間を全員で応援する「湧き上がる組織」
タカマツハウス株式会社 代表取締役社長 藤原元彦 氏
営業社員全員が“稼ぎ頭“に――。そんな理想的な組織を構築している会社がある。元トップ営業マンだった社長の藤原さんは、いかにして組織のパフォーマンスを高めているのか?
1人で10億円より、10人で10億円売る
競争の激しさ、厳しさで知られる首都圏の住宅業界にあって、創業わずか5年で269億円という年商を達成したのが、タカマツハウスだ。たった3人で始まった会社は、今や100人超の組織になっている。
社長の藤原元彦さんは積水ハウスで伝説のエース社員といわれた人物。2019(令和元)年に退職し、髙松コンストラクショングループの髙松孝之名誉会長が「最後の夢」として立ち上げた戸建住宅事業を担うタカマツハウスの社長に迎えられた。もちろん、簡単にスタートできたわけではない。
「最も大変だったのは、人の採用です。経験者もいれば、未経験者も少なくありません。心がけているのは、今いる社員から『いい人を採ってくれた』と言ってもらえるようにすることです」
そして藤原さんが掲げたポリシーが、落ちこぼれをつくらないことだった。
「落ちこぼれてしまうとつらいんです。業績が上がらないから、輪に入れない。自信がなくなり、感性も鈍って、ますます売れなくなる。だから、とにかく落ちこぼれが出ないよう、徹底してフォローしてきました」
前職時代にトップ営業マンだった藤原さんは、やがて若い部下を持つようになった。このとき、部下が成長することで自分も成長できるという、人育ての醍醐味を知った。
「できないのは理由があるんです。教えられていないこともたくさんある。やる気にさせ、いい方向に導き、成果が上がったら全力で褒める。そうすれば、みんな必ず売れるようになるんです」
1人で10億円売るよりも、10人で1億ずつ、計10億円売る組織にする。新たな会社でも追求したのは、「成約人率」という独自の指標だ。一部のトップ営業だけが売っている組織にはしないということだ。
「もちろんトップを育てることも大事です。でも、ミドルもボトムもアップさせることができれば、会社の雰囲気が圧倒的に良くなる。みんなで仲間を応援する『湧き上がる組織』になっていくんです」
営業に秘策はない。だから凡事を徹底する
そのために心がけているのが、日常の取り組みだ。まずは朝の挨拶。出社すると、社員全員が社長に挨拶に訪れるという。
「自然にこうなったんですが、一人ひとりと目を合わせ、言葉を交わすんです。様子もわかるし、褒める機会にもなる。ちょっとしたアドバイスもできる。どんなに取っても足りないのが、コミュニケーションですから」
そして10分間の朝礼を毎日行う。当番による1分間コメントのほか、契約状況などを報告して、みんなで拍手して褒めたたえる場にもなっている。
「レポートで配ればいいのかもしれませんが、そんなものは見ないですよね。朝礼だから、みんなで共有できるんです」
取材・文 上阪 徹
撮影 編集部
本記事は、月刊『理念と経営』2024年 12月号「特集2」から抜粋したものです。
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