『理念と経営』WEB記事

最大のライバルは時代の変化だ

株式会社ハイデイ日高 代表取締役 執行役員会長 神田 正 氏

直営店方式や独自の立地戦略で、高収益のビジネスモデルを実現しているハイデイ日高(さいたま市大宮区)。一軒のラーメン店から一大チェーンに成長させた神田さんの経営哲学とは――。

郊外は意外にも「宝の山」だった

関東圏で「熱烈中華食堂日高屋」をメインに「焼鳥日高」など約450店舗を展開するハイデイ日高。昨年創業50周年を迎え、売り上げ480億円突破という過去最高の記録を出した。

「去年、中華チェーンで480億円を超える売り上げを出したのは2社しかない。九分九厘直営でやっているのは、うちだけです」

創業者で会長の神田正さんは、そう言う。コロナ禍の苦境から見事にV字回復したのだった。

―コロナ禍は大変でしたか?

神田 あの2年間で63億円ほどの赤字が出ましたね。創業以来、一番苦しい時期でした。だけど最悪の状態にならなかったのは、政府の助成金と内部留保があったおかげです。

―コロナ後は快調ですね。

神田 コロナは悪いことだけじゃなく、いろんなことを教えてくれました。うちはアルコールを出していますから、駅前にしか店を出せないと思っていたんです。

― 確かに“ちょい飲み”で知られていますね。

神田 そうです。だけど苦し紛れに郊外に店を出したら、意外にもそこに宝の山がありました。在宅勤務になって駅前から人が消えた時期がありましたが、ロードサイドにはけっこう人がいたんですよ。いまは栃木や群馬、茨城のほうにどんどん出しています。

―何店舗くらいになりますか。

神田 ロードサイドは40店舗近くになると思います。これまで出店しなかった乗降客が2万人くらいの小さな駅にも、あえて店を出しています。これらを「ポツンと一軒家」戦略と呼んでいます。

―面白いですね。

神田 昼は近くのお母さんたちが集まってきてくれますし、夜はビジネスマンの居酒屋代わりに使ってもらっています。郊外では運転代行を呼ぶのが当たり前ですから、ロードサイド店などもけっこうアルコールが出るんですよ。いままでは駅前に行かないと飲むところがなかったけど、日高屋ができてありがたい、という声もよく聞きます。

― 防犯にもいい、という話もあるようですね。

神田 ええ。夜遅くまで営業していますから、「夜も明かりがついていて治安がよくなった」という声も聞いています。それに、1店舗出すと30人くらいパートさんを採用しますから、雇用促進の面でも社会に貢献できます。「うちの町にもきてよ」と声をかけていただくことも増えました。


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取材・文 中之町 新
撮影 伊藤千晴


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本記事は、月刊『理念と経営』2024年 12月号「企業事例研究1」から抜粋したものです。

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