『理念と経営』WEB記事
企業事例研究2
2024年 11月号
ほんまもんを発信する「おいしさ専門店」

フレンドフーズ有限会社 代表取締役 藤田 俊 氏
かつて倒産の危機にあった食品スーパー「フレンドフーズ」(京都市左京区)。藤田社長は同店を「スーパーマーケットの形をした真実発信メディア」と定義し、先代が遺した〝価値〞を生かす経営で盛り上げていく。
父は「流通の革命児」 店の原型はつくったが…
フレンドフーズは食品スーパーを運営している。店名も「フレンドフーズ」で、店舗は閑静な住宅地にある。売場面積約120坪。大型店ではないが、店内には全国から集めた逸品の数々や、自社製造の総菜に弁当、自社のPB(プライベートブランド)商品などおよそ3万アイテムが並ぶ。
藤田社長はそのすべてが「ほんまもん」だと言い、店を“真実発信メディア”と位置づけている。「ほんまもんの食材の価値観と物語を示すショールーム」として「生産者とお客様をつなぐかけ橋になる」と言うのだ。
創業は1977(昭和52)年。藤田社長の祖父・亮一さんが開設したスーパーマーケットを継いだ父・勝さんが現店舗の原型をつくった。
勝さんは好奇心旺盛かつ興味を持ったらとことん行くタイプで、野菜づくりを学ぼうと農家に弟子入りしたこともある。独自のこだわりと選択眼によって、おいしくて品質に信頼のおける食品を日本中から発掘して販売する店に仕立てた。同業者の間では「流通の革命児」「業界のカリスマ」と呼ばれたそうだ。
藤田社長は店を継ぐつもりはまったくなく、2005(平成17)年に大学を卒業すると3年間の会社勤務を経て、友人と学校を対象に写真・映像の制作販売とウェブサイト構築やシステム開発を手がけるIT企業を立ち上げた。現在は代表取締役の立場にある。
藤田社長がフレンドフーズを継いだのは、父の勝さんが病に倒れたからだ。
陣頭指揮をとってきた勝さんが店に顔を出せなくなると、取引先やスタッフはもとより店を知る多くの人たちから「店をつぶさないでくれ」との声が藤田社長に寄せられた。店のことはまったく知らなかったため、「なぜ、そんなに守ってほしいのだろう」と理由を知りたくなり役員就任を引き受けた。
来店客を楽しませる豊富な品ぞろえ。
「買い物もエンターテインメント」――そんな藤田社長の言葉を体現している
取材・文 中山秀樹
写真提供 フレンドフーズ有限会社
本記事は、月刊『理念と経営』2024年 11月号「企業事例研究2」から抜粋したものです。
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