『理念と経営』WEB記事
特集2
2024年 11月号
「日本を『空間時間価値』先進国へ」 そのための挑戦は尽きない

株式会社リビングハウス 代表取締役社長 北村甲介 氏
代替わりは13年前――北村社長率いるリビングハウスは、今年2月期に売上高53億円を達成した。社長就任時から、実に3.6倍。躍進を支えるのは、先代の父から引き継ぎ、北村社長の中に芽吹いた「志」だという。
“「自分の住空間をより良いものにしたい」という感覚が日本人には希薄だと感じた”
家具・インテリアなどの企画・販売を行うリビングハウスは、従来の家具店とは一線を画す独自戦略を次々と打ち出してきた。郊外に大型店舗を出店し低価格路線で拡大を進めるニトリやIKEAとは対照的に、人口集積地の商業施設内に出店し、おしゃれなデザインにこだわった中高価格帯で勝負をする。ホテルやモデルルームなどの空間プロデュースも手がけており、店舗は現在、全国に39店舗ある。
独自路線の戦略の中に背骨のように存在するのが、父親から受け継いだ経営理念と、3代目の現社長・北村甲介さんが新たに掲げたミッションだ。前者の経営理念は、「快適住空間を創造し家具インテリア文化の繁栄を築く」。後者のミッションは、「日本を『空間時間価値』先進国へ」である。
創業者の祖父は、家具職人だった。2代目の父は、洋家具を主体とした家具小売業に転向する。当初、北村社長に家業を継ぐつもりはなかったが、新卒で入社した別業界の会社を辞めた後、「やりがいとビジネスチャンスが感じられなかったらやめるかもしれない」という条件付きで家業に入ることを決意した。
そんな北村社長の転機は、修業先として選んだ北欧の高級家具メーカーでの経験だった。手がけた仕事は、家具の配達・配送。組み立て式の家具だったので、長時間配送先の家に滞在する。そこで感じたのが、日本人のインテリアに対する意識の低さだった。
「家具は高価なものが多く、お客様も富裕層がほとんどだったのですが、そうした立派な家の中で目にした家具やインテリアは、意外なほどちぐはぐでチープな印象だったのです。この違和感は何だろうと考えたとき、日本人の家具やインテリアに対する意識の低さがうかがえました。車や時計、鞄、服など、外で人目につくものにはお金をかけようとする半面、“自分の住空間をより良いものにしたい”という感覚が希薄だと感じたのです」
逆に考えれば、今後は日本人も、自分の住空間を心地の良いものにする傾向が強まるだろうと感じた北村社長は、そこで初めて家業に対してやりがいとビジネスチャンスを感じ、“本格的に”経営に取り組むことを決意したのである。
“徐々に父の志が自分の中にも生まれ育まれていったように思います”
2011(平成23)年に北村社長は先代の後を継ぎ3代目の社長に就任したが、その交代にあたって父親から言われた一言は「社名を含めて何を変えても構わない。ただ、経営理念だけは守ってほしい」というものだった。
先代社長は……
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取材・文 長野 修
撮影 編集部
本記事は、月刊『理念と経営』2024年 11月号「特集2」から抜粋したものです。
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