『理念と経営』WEB記事

本物の接客を目指す “超”野球専門店

株式会社スポーツシーブイ 代表取締役社長 中村勇太 氏

大手に勝つために野球に特化。しかし、ただの特化ではない。専門性に優れた接客力と例のないサービスで野球を愛する人を全力でサポートする。その決意は店名に表れていた――。

製造現場を見学し、接客に生かした

47の都道府県から、顧客が訪ねてくる店がある。千葉県鎌ケ谷市の「超野球専門店CV」だ。会員数は、28500人を超える。

同店を運営するのは、スポーツシーブイ社長で高校時代までプロ野球選手を目指していた中村勇太さん。大学生の時、1973(昭和48)年に祖父が創業した地域の総合スポーツ用品店を受け継ぐことを決意し、2代目の父と相談して野球に特化した店に変えることを決めた。

「広く浅くの品ぞろえでは、大型量販店に太刀打ちできないのは目に見えていましたから」

大学卒業後、奈良県大和高田市にある野球とサッカーの専門店、マツダスポーツに就職。そこで3年4カ月、専門店の経営や野球用品の修理技術などを学び、2013(平成25)年、家業に就いた。

店長として最初に手を付けたのは、スタッフの意識改革。野球に関する技術と知識が不足していたことから、一貫性のない品ぞろえ、曖昧な接客につながっていた。自店で販売した商品の修理に対応できないことすらあったという。

そこで中村さんは、自ら国内外の野球グラブ工場とグラブに使う革の工場を視察。そこで得た知見を伝えるだけでなく、スタッフも現地に連れて行った。すると、接客が変化した。

「説得力のある接客ができるようになりましたね。それまでは曖昧に、『こうだと思います』と言っていたのが、『このグラブの革はこういうところで作っていて、こういったメリット、デメリットがあります』と明確に商品の説明ができるようになったのはすごく大きかったです」

販売価格にも手を付けた。スポーツ用品業界では「一律2割引が当たり前」だったところ、消費税分だけサービスするように。当然、他店舗より販売価格が高くなるが、スタッフには「値段で負けているんだから、それ以上の付加価値がないと、お客さんに選んでもらえない」と伝えて、奮起を促した。

取材・文 川内イオ
写真提供 株式会社スポーツシーブイ


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本記事は、月刊『理念と経営』2024年 10月号「特集1」から抜粋したものです。

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