『理念と経営』WEB記事

自身が感じた「働きやすさ」を追求し、経営革新に貢献

株式会社小宮商店 執行役員 経営企画室長 伊藤裕子 氏

卸専業から小売りに参入――。流通の激変に対応するための経営革新を支えたのは、パート社員として入社した伊藤さんだ。「温かく迎えてくれた会社をよりよくしたい」と勉強を重ね、働く仲間はもとより社長も巻き込んでライフ・ワーク・バランスを推進。課題だった人材確保にも成功し、新たな事業領域で躍進を遂げている。

任された役目をしっかり果たしていこう

――小宮商店に入社した経緯は?

伊藤 2013(平成25)年にパート社員として入社しました。祖母の介護で働ける時間が限られる中で職を探していたとき「あなたの都合で働けます」と、経理担当を募集する広告を見つけました。面接では社長が私の状況をじっくり聴いてくださって、「担当の仕事をこなしてくれれば、ご自身のペースで勤務時間などを設定して構わないんですよ」と言ってくれました。友人からは「そんな小さな会社で大丈夫なの?」と心配されましたが、飛び込んでみることにしました。

入社してみると、主に60代の、わずか5、6人の働き手のみなさんが、とても親切で優しいんです。ベテランの一人の方が「帳簿を見てびっくりしただろう。でも辞めないで、仕事を自分のものにしてね」と言ってくれたことで、私の立ち位置は重要なんだなと思えました。これだけ柔軟に働かせてもらえるところは他にはないし、任された自分の役目をしっかり果たしていこうと思いました。

――そして正社員になったのですね。

伊藤 祖母が施設に入所した15(同27)年に正社員になりました。今まで以上に経営に向き合いたいと本で勉強したり、外部セミナーを受講したりして知識をつけていきました。ベテランの方から、年金受給しながら働く場合の相談事なども受けるようになり、勉強してFP2級の資格も取得しました。

気づいたことを共有し、できることは速やかに実行

――「女性活躍推進」に目を向けた理由は?

伊藤 16(同28)年に新聞で見た「女性活躍推進法人材育成研修」という文字が目に留まり、参加したことがきっかけです。

当社は13(同25)年まで卸売り専門でしたが、14年に小売りに参入しました。とはいえ、小売店運営のノウハウはなかったので、百貨店勤務経験のある20代の女性になんとか入社してもらい、お店づくりをスタートしました。すると、女性目線による商品企画やSNSによる発信などが功を奏して、翌年には数千万円の売り上げという成果が出ました。社内の雰囲気も明るくなってきました。そんな中で、せっかく入社してくれた若い女性が結婚や出産で辞めてしまったらもったいないと思い、社長にお願いして受講させてもらいました。

取材・文 米田真理子
写真提供 株式会社小宮商店


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本記事は、月刊『理念と経営』2024年 7月号「特集2」から抜粋したものです。

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