『理念と経営』WEB記事
企業事例研究2
2024年 7月号
業界に漂う違和感に 商機を見いだせ

株式会社インテリックス 代表取締役社長 木村明人 氏
企画・縫製から販売までの一貫生産体制を構築し、オーダーカーテンを「1窓1万円」の均一価格で販売するインテリックス(和歌山市)。画期的な仕組みづくりの秘訣を聞いた。
価格のわかりにくさを解消しよう!
インテリックスはオーダーカーテンの企画・縫製から販売・施工までを一貫して手がける独自のビジネスモデルを開発し、カーテン業界に新風を吹き込んだ。発案者は木村明人社長だ。
木村社長は大学卒業後、インテリア用品大手の「住江織物」に入社し東京支店で5年間勤務したのち、故郷の和歌山市に戻りインテリックスを立ち上げた。1990(平成2)年のことだ。
創業当初は実家を改装した作業場にミシンを並べ、妻と近所の主婦パート6~7名でカーテンの縫製を手がけていた。
仕事はふんだんにあった。小売店が行っていた縫製をメーカーが担うようになる移行期で、住江織物などから対応しきれないほど舞い込んだ。数年で作業場は手狭になり、和歌山市に隣接する岩出市に工場を建設、従業員は30~40名を数えるまでになった。
仕事は順調に拡大していたが、創業から10年後、木村社長は自らカーテンを企画製造し販売することにした。
「オーダーカーテンは高額でした。消費者もそう認識していましたが、なぜ高額になるのか、理由は不明瞭でした。もっとわかりやすくしたかったのです」
カーテンの販売価格は「半値8掛けは当たり前」だった。職人が出向いて施工するにもかかわらず、「購入するとカーテンレールの取り付け料は無料」になる例も多かった。しかも最終的な価格は「必要な寸法を正確に測ってみなければわからない」のだった。
「あまりにも不明瞭でした。そのために消費者は『オーダーは高額だから我慢しよう』となります。価格のわかりにくさの問題を解消できればビジネスとして成り立つだろうと事業拡大を決意したのです」
色・柄・サイズ問わず、「均一価格」を実現
オーダーカーテンが高額になる大きな理由は流通経路にあった。メーカーは生地を商社経由で織物工場から仕入れる。その生地は縫製会社でカーテンに仕立てられ、代理店や問屋を通じて小売店に届く。それぞれの段階で流通マージンが発生するから高くなる。そこで木村社長は「全部、自分でやろう。そうすれば価格を安くできる」と決めた。
取材・文 中山秀樹
写真提供 株式会社インテリックス
本記事は、月刊『理念と経営』2024年 7月号「企業事例研究2」から抜粋したものです。
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