『理念と経営』WEB記事

日報と面接で個人の努力を正しく評価

すててこ株式会社 代表取締役 笹原博之 氏

下着、靴下、ストッキングのネットショップ「すててこねっと」を運営するすててこは、もともと福井県あわら市の洋品店だった。オンラインに移行して、破綻寸前の状態から売り上げを12億円弱まで伸ばしたのは、3代目の笹原博之さんだ。

ライバルは「去年の自分」

笹原さんは1996(平成8)年、24歳のときに入社すると、2000(同12)年から独学でネットショップを開店するなど、経営のてこ入れをしてきた。

転機となったのは、父から正式に経営を受け継ぎ、社長に就いた2011(同23)年。地元の勉強会で「経営には戦略が必要」という話を聞き、「ランチェスター経営戦略」を取り入れてすべての業務を見直した。2014(同26)年には店舗を閉じ、ネット専業へ。こういった取り組みが業績に直結し、2011年に1億円弱だった売り上げが2016(同28)年には5億円に達した。

笹原さんはその過程でビジネス書を参考に、年に2回、社内で「経営計画発表会」を始めた。その経営計画を全社員に落とし込むため、年に4回のテストもスタート。これは優劣をつけるためのものではなく、会社の方針への理解を深めるためのものなので、難易度を低く設定している。

こうして経営計画の浸透を図りながら、人材育成にも着手した。関連する書籍を10冊以上読み、2016年から導入したのが「成長評価制度」だ。これは、日報の記入から始まる。

「自分の仕事を洗い出し、毎日何をどれだけしたのか入力してもらいます。コメントは不要です。これを続けると1カ月後、各業務に割いている時間と割合がわかりますよね。その集計結果に加えて、「○うまくいったこと、×うまくいかなかったこと、□やるべきこと、□気付いたこと、△アイディア報告、△気付いたファインプレー」を数行にまとめてもらい、それをもとに、毎月1対1で面接しました」

面接では、翌月の目標についても話し合われる。ポイントは、売り上げやノルマではなく、常に自分の過去の実績と比較してどう改善するのか、具体的に話し合うこと。例えば、前月に商品ページを30ページ製作したのであれば、翌月は35ページを目指すという具合だ。

会社の全数字をオープンにした理由

毎月の面接を繰り返し、1年たったときに年間の振り返りをする。そして、次の1年の目標を立てたら、笹原さんも含め全社員が発表する。

目標に関しては、前年比120%の成長を求めた。これも地元の勉強会で、企業の成長率が130%を超えると社員が疲労する、120%程度がちょうどいいと聞いたことから、自社の人材育成にも当てはめたという。

取材・文 川内イオ
写真提供 すててこ株式会社


この記事の続きを見たい方
バックナンバーはこちら

本記事は、月刊『理念と経営』2024年 1月号「特集1」から抜粋したものです。

理念と経営にご興味がある方へ

SNSでシェアする

無料メールマガジン

メールアドレスを登録していただくと、
定期的にメルマガ『理念と経営News』を配信いたします。

お問い合わせ

購読に関するお問い合わせなど、
お気軽にご連絡ください。