『理念と経営』WEB記事

社員の力を引き出すには、「土壌づくり」から始めよ

株式会社常盤植物化学研究所 代表取締役社長 立崎 仁 氏

制度や仕組みを変えるだけでは、会社は変わらない。危機的状況から抜け出すために立崎社長が行った「経営理念に基づく環境づくり」とは――。

今こそ、創業の原点に立ち返ろう

2010(平成22)年に32歳で社長に就任したとき、会社は危機的状況にあった。巨額の借金を抱え、銀行からの新規借り入れもできない。社内は荒れ、社員のモチベーションも低かった。売上高はピーク時の6割にまで落ち込んでしまう。

しかしその後、じわじわとV字回復。売上高は今や、過去最高を記録する勢いだ。会社の姿を変えたのは、社員の意識の変化だった。社長の立﨑仁さんはいう。

「制度や仕組みなどの表面的な戦術では、会社は変わりません。大事なことは、考え方から整えていくことなんです」

植物の化学成分を解析して医薬品原薬や化粧品原料、食品添加物などを製造する素材メーカー。創業は1949(昭和24)年。

「原爆の後遺症に悩む人々を救う治療薬として期待された植物由来成分ルチンの製造から始まりました。崇高な理念を持ち、社会貢献を常に意識する会社だったんです。しかし、その使命感や誇りが、社内からすっかり薄れてしまっていました」

自身は創業家の3代目。大手化粧品メーカーの勤務経験はあったが、経営経験はない。だが、むしろそれが幸運だった。外からの指摘を、素直に受け入れることができたからだ。

「再建を支援くださったコンサルタントから、まずは経営理念をもっと明文化してみたら、というアドバイスをもらったんです。これこそまさに、原点に立ち返ることでした」

当時の経営理念は抽象的、哲学的なものだった。これでは、社員にわかりにくい。それが創業以来の理念や社会貢献意識が薄れてしまった理由だと感じた。そこで…



取材・文 上阪徹


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本記事は、月刊『理念と経営』2023年 10月号「特集1」から抜粋したものです。

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