『理念と経営』WEB記事

女性の行動力と決断が経営危機を救う

株式会社コラボラボ 代表取締役 / お茶の水女子大学客員准教授 横田響子 氏

数々の逆境を乗り越えてきた女性経営者たち。その「強さ」はどこにあるのだろう。「女性社長.net」で数多くの女性経営者と出会い、支援を行ってきた横田氏に、彼女たちに共通する特徴を聞いた。

トップダウンではなくチームワークを重視

———女性経営者の活躍に注目が集まっています。どんな変化があったのでしょうか?

横田 まず2000年前後で環境が変わりました。インターネットの登場もあって、資本も持たない、コネもない女性たちも会社を立ち上げやすくなった。そしてこの10数年は、政府が女性活躍を積極的にバックアップしています。

同時に、40代前後の女性たちの管理職経験者が増え、会社でしっかりキャリアを積み上げてきた人たちが女性経営者になるケースも増えています。

もう一つの変化は事業承継です。後継者が確定していない企業は、かつて7割だったものが5割になっていますが、これは女性への選択が増えていることもあると思います。以前は経営者に娘がいても、婿に会社を継がせることが多かった。しかし、女性の後継が選択肢に上がってきています。

女性社長.netでも、旅館、美容院、電気工事の会社などで、会社を親から継いだ女性経営者がいます。社長の妻が継ぐケースも増えてきています。

———女性経営者の特徴とは、どのようなものでしょうか?

横田 効率的で、無駄のない動きをすることだと思います。もともと子育てや介護なども含めた家事労働を担っていますから、短時間でいかに効率よく行動していくか、強く意識されています。

それこそ、何か相談ごとがあったとしても、初回から胸襟を開いて情報交換をしたりするのが女性です。プライドが邪魔して、なかなか本音を言えない、なんてことはない。まずは飲み会や食事をして、なんてこともない。有効な時間の使い方を意識している人が多いですね。

———女性経営者のほうが、女性を雇用する率が高いとおっしゃっています。

横田 そうですね。女性経営者に代わってから女性が働きやすい環境づくりを進め、女性採用を積極的に推し進めて、いい変化を起こしている会社は多いです。また、組織づくりも柔軟です。採用についても、フルタイムを前提にしていなかったりする。正社員か非正規社員か、固定給か時給か、といったことにもこだわらない。

そもそも社長自身も子どもが風邪を引いて急に仕事から抜けなければいけないこともあるわけです。だから、常に誰かがカバーできる体制を考える女性経営者は少なくない。その意味でも、自分が強いリーダーシップで引っ張っていくというよりは、チームで働くことを優先している経営者が多いですね。


図作成:編集部

取材・文 上阪徹
写真提供 株式会社コラボラボ


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本記事は、月刊『理念と経営』2023年 2月号「特集1」から抜粋したものです。

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