『理念と経営』WEB記事
特集1
2022年4月号
情熱と覚悟を持って、自分の信じた道を行け

株式会社レバンガ北海道 代表取締役社長 折茂武彦 氏
常に結果を求められるプロスポーツの世界は、華やかさとは裏腹に厳しい。そのような中、プロバスケットボール選手として27年間もプレーし続けた折茂氏は異色の経営者であり、アスリートと言えよう。“結果”を出すため、折茂氏は現役時代にどのようなことを考え、行動していたのだろうか?
「打ち切る」ことで周りの信頼は得られる
プロバスケットボールチーム「レバンガ北海道」の代表を務める折茂武彦氏は、49歳までプレーを続けた日本バスケ界のレジェンドでもある。それだけ長い間選手として活躍できたのは、よほどバスケが好きだったからと思いきや、実はそうではないという。
「現役時代、バスケットボールを楽しいと感じたことはありません。好きだから続けられたのではないのです。私のモチベーションは、試合に勝ちたいという情熱、それだけでした。自分にはバスケットボールしか取り柄がないのに、それで負けるのが許せなかったのです」
今年の新入社員も、仕事が楽しくないと思い悩んだときは、ぜひ折茂氏のこの言葉を思い出してほしい。大事なのは好き嫌いではなく、情熱をもって事に当たることなのである。ただ、いくら情熱を注いでも、必ずうまくいくわけではない。ましてや慣れない仕事なら、かなりの確率で失敗するだろう。でも、それでいいと折茂氏は語る。
「試合に勝つのはいつだって難しい。だから必死になって練習するのです。それでも必ず勝てるわけではありません。私は27年間の選手生活で3回日本一になっていますが、それ以外の24回は途中で負けているのです。でも、敗北し苦汁をなめるからこそ、次こそ勝ってやるという情熱が湧いてくる。その悔しさが自分を成長させてくれるのです。失敗しないようできることだけやるのではなく、困難な課題に挑戦し失敗するほうを、私は常に選んできました。たとえ失敗してもその経験はあとで必ず生きるので、心配は無用です」
そういう折茂氏も、若いころは連続してシュートを外すと、弱気になって次に打つのを躊躇することもあったという。いくら失敗は成長の糧だとわかっていても、失敗が続けば自信は揺らぐし、周囲の目だって気になるだろう。乗り越えるのは容易なことではない。折茂氏を覚醒させたのは、あるコーチの助言だった。
「おまえは何本外そうが打ち続けるんだと言われ、心がすっと軽くなりました。スコアラーの私は点を取るのが仕事。それなのに打つのをやめたらそれは仕事放棄ですから、その時点でコートにいる意味がなくなります。入ろうが入るまいがシュートを『打ち切る』ことでしか自分の責任を果たせないし信頼も得られないと、私はそのコーチのひと言で気づいたのです」
B.LEAGUE2018-19シーズン @LEVANGA HOKKAIDO
取材・文 山口雅之
写真提供 株式会社レバンガ北海道
本記事は、月刊『理念と経営』2022年4月号「特集1」から抜粋したものです。
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