『理念と経営』WEB記事
特集1
2022年4月号
入社一年目でなくても守りたい「仕事の三原則」

ライフネット生命保険株式会社 共同創業者 岩瀬大輔 氏
東京大学を卒業後、外資系企業に勤務、20代後半で社会人MBA留学をし、30代では起業――そんな華々しいキャリアを積み上げてきた岩瀬氏には、若手時代から大事にしていることがあるという。世界で活躍するビジネスパーソンに「仕事の本質」を伺った。
仕事の原理原則は今も昔も変わらない
――岩瀬さんが『入社1年目の教科書』(ダイヤモンド社)を上梓したのは2011年。ここに書かれている50のルールは、11年経った今も変わらず通用しますか。
岩瀬 あの本にまとめたのはハウツーやノウハウではなく、仕事の原理原則です。当時も現在も仕事の本質は何ら変わっていません。ゆえに、今年の新入社員にもそのまま当てはまると私は思っています。ただし、表現は当時の時代背景に合わせたものなので、伝わりにくいものがいくつかあるのも確かです。たとえば「宴会芸は死ぬ気でやれ」という項目。これに違和感を覚える人は少なくないでしょう。でも、この真意は「仕事以外の活動にも積極的に貢献する」ということなのです。宴会芸が時代錯誤と感じるなら、行事の企画や準備など他のことに置き換えて解釈してください。
ただし、表現は当時の時代背景に合わせたものなので、伝わりにくいものがいくつかあるのも確かです。たとえば「宴会芸は死ぬ気でやれ」という項目。これに違和感を覚える人は少なくないでしょう。でも、この真意は「仕事以外の活動にも積極的に貢献する」ということなのです。宴会芸が時代錯誤と感じるなら、行事の企画や準備など他のことに置き換えて解釈してください。
イメージ図:編集部
――岩瀬さんは同書で5年後、10年後に活躍できるビジネスパーソンになるには、「頼まれたことは、必ずやりきる」「50点で構わないから早く出せ」「つまらない仕事はない」の三原則を身に着けろと主張しています。
しかし、これから職務内容を明確にしたジョブ型雇用が日本でも主流になるといわれています。そうなると、有用なスキルの習得に励んだほうがいいということにはならないのでしょうか。
岩瀬 それは違います。なぜなら、どんな仕事も他者との関係なしには成立しないし、複数の人間が協力し合わなければ成果が出せないからです。これはジョブ型雇用になっても変わりません。この人と一緒に仕事をしたいと思ってもらえない人には、チャンスが巡ってこないのです。
私は、外資系企業でも働いたことがありますが、そこでも能力はあるのに仕事ができない人はいくらでもいました。普段から三原則を心がけていれば、必ず周囲から信頼されるようになります。そうすると大事な仕事を頼まれる機会も増えるので成長も早まる。そうしたら、やがて大事なプロジェクトからも声がかかるようになるのです。とくに、新入社員のうちは、ひとりで100点を出そうとせず、50点でいいから早く提出し、上司にフィードバックをもらいながら進めるというやり方を意識してみてください。
――つまらない仕事はないというのは本当でしょうか。
岩瀬 誰かのために自分の時間や技術を提供することでお金をもらうのが仕事。ということは、逆に楽しくなくて当たり前なのです。でも、どんな仕事も、それは何のために行うのかを考え、自分なりに工夫すれば、コピー取りのような単純作業であっても楽しめるようになれます。
要するに、自分がどういう姿勢で向き合うかで、つまらなくも楽しくもなるのが仕事なのです。確かに新入社員のうちは雑用仕事を頼まれることが多いかもしれません。でも、給料以上のリターンができないうちはそれも仕方がないと割り切って、将来本当にやりたい仕事をやらせてもらえるようになれるよう、目の前の仕事に楽しみを見出して、全力で取り組むことが大切なのです。
取材・文 山口雅之
本記事は、月刊『理念と経営』2022年4月号「特集1」から抜粋したものです。
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