『理念と経営』WEB記事

トライ&エラーの商品開発で未知なる市場を創り出し、「ニッチトップ」を目指す

テクナード株式会社 代表取締役 原真澄 氏

新型コロナウイルスの流行という予想外の事態に陥っても、ゼッタイに諦めない――。なんとか突破口を見いだそうと試行錯誤の日々が続き、そうして掴んだ新たなチャンス。

「このピンチを
逆にチャンスにする」

原真澄氏が2006(平成18)年に創業したテクナード。消臭・吸湿機能をもつ機能性素材「シリカクリン」とそれを使った生活雑貨が、ここにきて俄かに注目を集めている。だが、当初は知名度の低さからなかなか売り上げが伸びず、仕方なく他社の商品を仕入れドラッグストアなどに卸すことで、糊口をしのいでいたという。そんな同社に転機が訪れたのはいまから5年前のこと。

「このままでは会社がもたないのは明らかでした。そこで、思い切って営業品目を自社製品に特化し、ニッチでトップを目指すと腹を決めたのです」

 原氏はまずインテリア業界に目を付けた。

「これまでのシリカクリンは原料のシリカゲルをサンドイッチ状にした不織布を使用していましたが、それをファブリックに置き換え、カーテンやソファーの生地に使用できると考えたのです。これなら靴の中敷きなどよりはるかに面積が広いから、売り上げが一気に伸びると踏んだわけです」

 こうして試行錯誤を繰り返し、新素材の「シリカクリンファブリック」ができあがったのが19(令和元)年12月。あとは売り込むだけというまさにそのとき、予想外の事態が勃発した。新型コロナウイルスの流行が始まったのだ。中国の物流が止まり、中国産が9割だったシリカゲルの輸入見通しが立たなくなって新事業の計画は頓挫。従来事業の売り上げも半減した。しかし、原氏はこのピンチを逆にチャンスに変える。

「中国でマスクが不足しているというニュースを見て、同じことが必ず日本でも起こると思いました。コロナ禍ではマスクが必須で長時間マスク生活が強いられます。マスクのムレやニオイが気になるので、このシリカクリンファブリックが使えるとピンときました」

どんなに難しい注文でも断わらない

 思いついたら躊躇しないのが信条の原氏は、すぐにマスク製造に着手し、4月にはメガネが曇らない抗菌消臭マスクの発売を開始した。それが地元新聞に取り上げられ、ネットニュースでも紹介されると、原氏の読みどおり日本でもマスクの品薄状態が続いていたこともあって、たちまち全国から注文が殺到。テクナードはあっという間に業績回復を果たす。

 すると、今度は、それまでギター用の調湿剤などで取引のあった島村楽器から、装着したままサックスやフルートが吹けるマスクをつくってほしいというオファーが舞い込む。

取材・文 山口雅之
写真提供 テクナード株式会社


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本記事は、月刊『理念と経営』2022年1月号「それでも負けない! 中小企業の底力」から抜粋したものです。

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