『理念と経営』WEB記事

社員の心に届くトップメッセージ

株式会社ベアーズ 取締役副社長 髙橋ゆき氏

家事代行産業のパイオニアであり、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の監修としても知られるベアーズ。妥協のない細やかなサービスは利用者を感動させ、リピート率は8割を超える。スタッフの質をどのように担保しているのか、その「愛」ある経営を実践する髙橋副社長に聞いた。

「そこの愛はあるのか」と問い続ける

―― ベアーズの主力事業は家事代行サービス。具体的にはどのような内容なのでしょう。

髙橋  掃除、洗濯、料理、アイロンかけ、靴磨き、ゴミの分別、ベッドメイクなど日常の家事全般です。そのほかエアコン清掃などを行うハウスクリーニング、キッズ&ベビーシッター、高齢者支援なども手がけています。ひと言でいうと当社は「暮らしの困ったを解決する企業」です。

―― どのようなサービスを行うかは、家事の項目ごとにマニュアル化されているのですか。

髙橋  掃除は奥から手前へ、上から下へといった家事を効率的に進める基本はマニュアル化されていて、日々更新されています。しかし、本当に大事なことはマニュアルにはなっていません。できないのです。
 家事代行を行うスタッフ「ベアーズレディ」には、常にお客さまに120%感動していただくことを目指してもらっています。それには、お客さまが言語化できていない要望まで感知できなければならないのです。一つ例を挙げるなら、小さい子のおもちゃを片付けるよう求められたとき、「消毒してから箱に入れましょうか」と言えるかどうか。
 このように家事のさまざまな局面で、お客さまの期待を超えるサービスを提供できて初めて感動してもらえるのです。

――たしかに、そういったことを一つひとつマニュアル化するのは現実的ではありませんね。では、どうすればそういうことができるようになるのですか。

髙橋  自分自身が成長し、日常のささやかなことにも喜びを感じられる「感動人間」になるということです。さらに、感謝の気持ち、笑顔、仲間への信頼、愛といった要素も欠かせません。
 そういった大事なことは「ベアーズびと」の理念および行動指針としてフィロソフィーにうたっているので、それを学んでもらうようにしています。

理念は暗記ではなく「その心は」を読み解く

―― 経営理念やフィロソフィーを掲げている企業の多くは、それをいかに社員に浸透させるかで苦労しています。どんな工夫をされていますか。

髙橋  理念やフィロソフィーは頭で理解するだけでなく、体現しなければ意味がありません。当社では、社長から新入社員まで全員が、毎日勤務時間内に15分から30分かけてフィロソフィー学習に取り組んでいます。単なる暗記ではなく、それらの言葉に込められた気持ちや哲学といった「その心は」を読み解き、どうやって表現するかをみんなで話し合うのです。
 正解はその人の成長度合いによって違ってくるので、終わりはありません。私もまだまだ勉強中です。もちろん、通常の業務やベアーズレディの指導にもフィロソフィーは使われており、そこでの気づきによっても理解は深まっていきます。
 以前は私がすべてのスタッフの教育をみていましたが、さすがに社員数が500名を超える大所帯となると、そういうわけにもいきません。そこで、5年前に取締役副社長に就任したのをきっかけに、自分が直接かかわるのは6名の執行役員と、その下の幹部候補生12名までと宣言しました。
 今は彼らが私の座右の銘である「そこに愛はあるのか」の精神を引き継いで、ベアーズびとのフィロソフィー教育に取り組んでいます。


取材・文/山口雅之
撮影/編集部
写真提供/株式会社ベアーズ


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本記事は、月刊『理念と経営』2021年10月号「特集2」から抜粋したものです。

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