『理念と経営』WEB記事

常に挑戦している人には、挫折はない

NPO法人ベースボールスピリッツ
 理事長 奥村幸治(こうじ) 氏

バッティングピッチャーとしてオリックス時代のイチロー選手を支え、中学時代の田中将大投手を教え子に持つ奥村氏は、2人の共通点として「基本を大切にしていること」を挙げる。世界を舞台に活躍する超一流選手は何を重視し、どんなことを習慣づけているのか――。間近で見てきた奥村氏に聞いた。

イチロー選手がルーティンを大切にする理由

イチロー選手、そして田中将大投手の2人と出会ったことは、私にとって人生最大の幸運です。しかも、イチロー選手とはバッティングピッチャーとして、田中投手とは少年野球の監督として出会いました。この出会い方もラッキーだったと思っています。
何よりイチロー選手です。裏方として出会ったからこそ、普段表に出さないような本音を聞くこともでき、彼の真のすごさに気づけたのです。
プロ野球で活躍する選手はみな素晴らしい技術を持っています。しかし、長期にわたって結果を出している選手はそう多くいません。その中でイチロー選手がなぜずっと結果を出し続けることができたのか。私は、普段からの準備や行動にぶれがないからだと思っています。
グラウンドに入る時間、ウォーミングアップからバッティング練習までの行動など、すべてが毎日同じなのです。これはメジャーリーグに行ってからも変わらず、「時計よりも正確だった」と言われています。毎日同じことをやることによって、自分のその日の状態の良しあしにも気づけるのです。イチロー選手は「高校時代1日10分間の素振りを3年間1日も欠かさず毎日続けてきた」と言っていました。たった10分と思われるかもしれませんが、どんな日も休まず継続するのは並大抵の精神力ではありません。
「夢は大きく、目標は小さく」というのもイチロー選手の言葉です。自分が毎日できる目標を設定し、達成の喜びを感じる。大きな夢の実現のために、小さな目標達成を日々積み重ねていくのです。ルーティン、つまり日々の習慣の大切さは、そこにあると思います。
メジャーリーグには道具のメンテナンスを専門にするスタッフがいます。でも、イチロー選手は他人には任せず、試合が終わった後は必ず自分でグローブを磨いていました。
これも彼のルーティンです。磨きながら試合の振り返りもしていたのでしょう。バットも湿気がこもらないように、常に気を配っていました。
イチロー選手は「“野球の神様”がいると思う」と言うのです。道具の手入れを怠らない、懸命に日々のルーティンをこなす、そういう真剣でひたむきな姿に“野球の神様”は微笑み、チャンスを運んでくれるのだと思います。

泣いても次の日は上を向いていた中学時代のマー君

私は中学硬式野球チーム「宝塚ボーイズ」の監督をしています。「マー君」こと田中将大投手(教え子なので以下、将大と呼びます)も中学1年生の4月に入ってきました。
まず感じたのは、すごく負けず嫌いだったということです。自分より経験が上の先輩を見て、どうやればこういう選手になれるのか、こういう選手たちに勝つにはどうすればいいのかということを常に考えていました。
2年生の秋、新チームになると、ここでもリーダーシップをすごく発揮しました。


写真提供 本人
構成 編集部


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本記事は、月刊『理念と経営』2021年6月号「一流の習慣術」から抜粋したものです。

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