『理念と経営』WEB記事

新入社員受け入れ手帳

とにかく考える機会を増やすことが
論理的思考につながる

パズル作家 北村良子 氏

報告やプレゼンテーションなどでわかりやすく相手に伝えるためにはロジカルシンキングが必要になる。その根底にあるのは考える力と話す北村さんにどうすればロジカルシンキングが身に付くのか聞いた。

深く考える機会が
減った現代社会

   ロジカルシンキングのトレーニングというと、ロジックツリーやMECEなどのメソッドを教えようとしがちですが、私はお勧めしません。メソッドを使いこなす前提となる「考える訓練」が、実は若い人にはできていないからです。いきなりメソッドを使おうとすると、難しくてできない、ということになってしまいかねない。論理的に筋道を立てて考えることは、社会に出ると求められるのに学校では教わらない典型的なスキルです。そもそも考える練習も学校ではできていない、ということを知っておく必要があります。
論理的な人の特徴に、疑問を持つ力が挙げられますが、実はその機会が減っています。インターネットで調べればすぐわかるからいいや、で思考を止めてしまうのです。自分で考えることを放棄してしまう。答えを見る前に、自分なりの見解を考えることもしない。おまけに情報過多の時代ですから、脳はますます受け身になる。
思うことはあるかもしれませんが、思うと考えるは違います。深く考える機会は、どんどん減っている。意識をしないと、考えることはできなくなっていくのです。
わかりやすく話す力は論理的な人の特徴ですが、これができないのは、しゃべる前に考えていないからです。だから、思いつくままにしゃべってしまう。浮かんだことをそのまま言葉にしてしまう。報告にしても、プレゼンテーションにしても、筋道を立てて話せない人は、そういう人です。どうしてそうなってしまうのかというと、考えていないからです。考えていないことを、話すことはできません。
逆に、わかりやすく話せる人は、普段から頭の中で考えている人です。話す相手をイメージして、頭の中でシュミレーションする。相手との会話を組み立ててみる。脳内会話トレーニングです。これが論理力を高める訓練になります。頭の中なら、どんな人でも作り出せます。頭の中の上司に報告してみるのもいいですし、ものわかりが悪い人に説明することを考えてみてもいい。いろいろな話を、いろいろな場で話すつもりで考えてみる。これなら、電車の中でもどこでもできます。それがそのまま、わかりやすく話す力につながっていきます。
まずは、新入社員に頭で考えてみることを教えてほしいのです。脳内会話をしているうちに、どんどんわかりやすく話せるようになっていきます。報告する力も、プレゼンテー
ションの力も上がります。

取材・文 上阪 徹
写真提供 有限会社イーソフィア


この記事の続きを見たい方
バックナンバーはこちら

本記事は、月刊『理念と経営』2021年3月号「特集」から抜粋したものです。

理念と経営にご興味がある方へ

SNSでシェアする

無料メールマガジン

メールアドレスを登録していただくと、
定期的にメルマガ『理念と経営News』を配信いたします。

お問い合わせ

購読に関するお問い合わせなど、
お気軽にご連絡ください。