『理念と経営』WEB記事

あなたの会社の“本当の顧客”は誰ですか?

サクセスラボ株式会社 代表取締役 弘子ラザヴィ

供給過多の時代となり顧客から継続的に選ばれる努力が企業に求められている。日々、製品・サービスに求められる水準が高まるなか、顧客から選ばれ続けるためにはどのようなビジネスモデルを構築すればいいのだろうか?そのヒントの1つに「カスタマーサクセス」がある。

顧客の「成功」が求められる

 カスタマーサクセス、という言葉がアメリカでは当たり前に使われるようになっている。日本でもベンチャー企業を中心に認知が進んでいるという。著書『カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」』がある弘子ラザヴィ氏はこう語る。
「これまでカスタマーサティスファクション(顧客満足)という言葉が使われてきましたが、これでは不十分だったということです。もちろん満足も大切ですが、さらにその先にある顧客の成功を提供しないといけない。そうでなければ、継続的な利用が約束されないからです。お客さまが狙っている成功、ビジネス上の成果までたどり着くことが求められている時代なのです」
 この概念が生まれたのは、二〇〇〇年代のソフトウエア業界だった。サブスクリプション方式、つまり利用者がモノを買い取るのではなく、利用した期間や量に応じて料金を支払う方式で急成長していた企業で、ある気づきがあった。解約率の高さだ。
「新規契約がたくさんあると、そこに気づくことが難しくなるのですが、実は一方で解約がどんどん進んでいたのです。このままでは立ちゆかなくなる、と既存カスタマーを育成、支援して成功を手にしてもらう、カスタマーサクセスという発想が生まれました」
 その後、リーマン・ショックを生き抜いたベンチャー企業がベンチャーキャピタルとして投資側に回ったとき、一斉にカスタマーサクセスという言葉を使い出した。
「カスタマーサクセスを意識できているか。さらには継続率がどのくらいなのかをきちんとマネジメントできているかが、ベンチャーの成功には極めて重要だということがわかっていったからです。やがて、投資の基準としても見られるようになりました」

前提が大きく変わったデジタル時代

 背景にあるのが、デジタル化の進展だ。カスタマーがどのくらい自社のサービスを評価しているのか、データによってはっきりと見えるようになった。
「満足はしてもらえていたとしても、実はサクセスはできていないことに、データで気づかされたわけです。実際、営業活動というのは極きわめて人の要素が大きかった。あの人が紹介してくれたから続けよう、というケースも多かった。しかし、それでは人が代わった瞬間に切られてしまう。こういうことが、データで明らかになっていったんです」
 そしてもう一つの背景が、マーケットの変化である。「供給が需要よりも少なかった時代は、作れば売れました。しかし、今は供給過多。作る人がたくさんいる中で、選ばれなければなりません。カスタマーこそキングという時代なのです」
 しかも、スマートフォンの登場などで、カスタマーはどんどん希求水準が上がっている。さらに、過去に比べて桁けた違いの情報を持つようになった。多くの選択肢から、いくらでも選べるようになった。それこそ世界中の企業にアクセスでき、そこから選べるのだ。
「供給側が今までの延長で大丈夫と思っていたら、大変なことが起きかねません。前提が大きく変わってきているのです」

取材・文 上阪 徹
photo by 雨森希紀(Maran.Don)

本記事は、月刊『理念と経営』2020年7月号「小特集」から抜粋したものです。

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