『理念と経営』WEB記事

念いは、必ず実現する

株式会社渡辺有規建築企画事務所 代表取締役 渡邉有規

経営理念に「都市(まち)を創り 人財(ひと)を創る 感動を創り 未来を創る そして すべては 光り輝く」を掲げ、〝満足を超えた感動〟を追い求めながら、建て主との強い信頼関係を構築してきた渡辺有規建築企画事務所。不安と恐れに襲われてもなお、理念の実現に向けての歩みを止めなかった渡邉社長の体験的経営論。

迷ったら、理念に立ち返る

 取材が行われたのは、「緊急事態宣言」が発令された4月7日のことである。一向に歯止めがかからないコロナウイルスの感染拡大を防ぐために、政府から、外出や企業活動に対する自粛要請が改めてなされた。
「大変な時代になりました。私たちのお客様にはホテルや飲食店を経営されている方々や医療で貢献されている方々や医療で貢献されている方々、ご高齢者や障がい者、子どもたちを支えていらっしゃる方々など広くいらっしゃいますが、多くの皆さんがこの感染拡大によって深刻な被害を受け、大変なご苦労をなさっています。
 当社が手掛ける建築の仕事はお客様の成長発展があってのこと。長くこの不況が続けばこれから影響を受けると思います。二年後、三年後を考えて本年計画していた家族会や、感謝の会、この10年で75回も続けてきた各プロジェクト主催の『warpセミナー』などもことごとく中止せざるを得なくなりました」
 こう話すのは建築・企画、設計・デザイン、工事監理を手掛ける渡辺有規建築企画事務所の渡邉有規社長である。これまで業績は好調で、今年度の目標には「変革の実現と美しき未来への挑戦」を掲げ、さらなる飛躍を遂げようという意気込みだったのだが、それが予期せぬ事態によって、まったく先行きが読めなくなってしまった。
「この危機にどう向き合えばいいか、いかに乗り越えようかと考えていましたが、はたと気づいたんです。もうこれは、私たちの原点に返るしかないと。
 私はこれまで、建築を通じてお客様と共に『感動』をつくりたいという念いで仕事をしてきました。一つの建物から街が変わり、人の心が変わっていくような、そんな建築空間・環境をつくりたい。故に経営理念も『都市(まち)を創り 人財(ひと)を創る 感動を創り 未来を創る そして すべては 光り輝く』を掲げています。もう一度この理念に立ち返ろうと思ったのです。
 今、与えられた目の前の仕事に最大限の力を尽くす。お客様が喜び、感動し、感激をいただける最高の建築物をつくりあげる。私は、建築を愛し、建て主であるお客様の喜びを心から愛する設計者の一人として、社員と共に『今ここ100%』、一つ所に命を懸ける創業の原点に返れば、必ずこの危機を乗り越えられ、未来は開かれると思ったのです」

「建築の喜び」から「成功繁栄」まで

 創業は1989(平成元)年。渡邉社長がそれまで在籍していた設計事務所を退職し、新たに会社を立ち上げた。以来、これまでつくってきた建築物は県内を中心に1593棟にも及び、現在も年間で60件もの設計を手掛けるなど、栃木県民間設計物件第一位の企画、設計・デザインで顧客から絶大な信用と信頼を勝ち得てきた。
 その成長を支える大きな特徴が、専門分野に特化された「建築企画設計プロジェクト」に現れている。「医療施設」「福祉施設」「幼稚園・保育園・こども園」「集合住宅」「商業施設・オフィス」「個人住宅」「工場・倉庫」「官公庁公共施設」の8つの分野で展開されているプロジェクトは、専門分野ごとにチームを組み、そこで徹底的に調査、研究が行われている。
「時代の要請に迫られてやってきたことですが、その時々にお客様に求められるものに対して全力投球で学んできたことが、このプロジェクト化につながりました」

渡辺有規建築企画事務所が製作した創業30周年記念動画の視聴はこちらから

取材・文 編集部
写真提供 株式会社渡辺有規建築企画事務所

本記事は、月刊『理念と経営』2020年6月号「企業事例研究2」から抜粋したものです。

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