『理念と経営』WEB記事

「会計思考」がビジネスの現場を変える

公認会計士 安本隆晴 氏

仕事の効率を上げていくには数字感覚、会計思考が不可欠。
数字で考える習慣作りのための「基本」をわかりやすく6回にわたってお届けします。

何事も数字で説明すると話が早い

【あるある劇場】
工具メーカーの新入社員A君は、営業部B課長のもとで仕事に取り組み始めました。インターンの頃から意欲的に自社商品知識を深め、市場動向にも積極的に目を配っているA君。今日も営業先から元気に戻り、顧客の声を集めて課長に提案する姿勢はなかなか頼もしいのですが……。

A君 ただ今戻りました!
B課長 おかえり。おや、何だか嬉しそうだね。
A君 え、わかりますか?(満面の笑み)
B課長 その顔を見ればわかるさ。何かいいことがあったの?
A君 はい、お得意先回りをしていて、良い情報を得ました。
B課長 へェ、どんなこと?
A君 うちが2年前に売り出した錆取り剤が「コスパいい」っていう声を、営業先で2回も聞きました。これって販売促進をかけたほうがいいと思います。
B課長 ほぉ、評価いただいているのは嬉しいね。でも、あの商品は主力の工具とセットで発売してから2年もたっているのに、どうして今ごろそういう声が出たのかな?
A君 さあ……。
B課長 何かきっかけがあったのかな?(テレビで紹介されたとか?)あと、どの辺が「コストパフォーマンスがいい」と評価されたのだろう?
A君 そうですね…、うーん。
B課長 (苦笑)できれば数字的根拠とともに示してもらえるとありがたいな。
A君 数字的な根拠ですか?
B課長 例えばそのお客様がその商品をどういう頻度で購入しているか、どんな場面でよく使われているのか、とか……。初回購入はいつだったのかも知っておきたい情報だよね。
A君 別々の2社で同じ内容の声が上がったので、つい嬉しくって。そうですよね、まずは自分でもう少し詳しく調べてみます。
B課長 よろしく頼むよ。あと、販促の提案をするのなら具体案もね。(その場合の売上見込み額もね、と言いたいところだが……)
A君 わかりました! 市場規模とかも調べてみます!
B課長 (お、頼もしいことを!)期待してるよ!

どこの会社にもありそうな上司と部下の会話です。A君はインターンを経由して入社したとはいえ、新人が得意先に一人で出掛けていって自社商品の評判を聞き付け、販売促進策を考えたほうがいいと上司に具申するのは大したものです。
 
重要な論点を一緒に再確認してみましょう。

①    得意先回りで良い情報を得たら、すぐに上司および関係部署に伝える

会社内にこのようなルールがあり、実際にその通り徹底実施されていることが重要。良い情報だけでなく、悪い情報も同じように伝えることが大事です。また、情報共有が早ければ早いほどスピーディーに対策が打てます。良い情報なら機会損失(品切れロス)が防止できるし、悪い情報なら大きな問題(損害賠償などの損失)にならないうちに手を打てます。情報伝達のスピードが損益にも影響するのです。

②    顧客に商品が評価されたのであれば、どの点をどのように評価されたのか、競合他社の比較商品との違いや市場動向なども調査する 

良い評価であれば、その部分をもっと改善し伸ばす努力をすることで、売上アップにつながるはず。「情報」にはそれを取得するための「目的」があります。商品を改善し、市場を切り開くための情報を得なければなりません。

本記事は、月刊『理念と経営』2020年4月号「「会計思考」がビジネスの現場を変える」から抜粋したものです。

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