『理念と経営』WEB記事

年商90%減!窮地を脱したのは原点回帰という革新だった

有明産業株式会社 代表取締役 小田原伸行

落ち続ける業績

有明産業は国内に唯一存在する洋樽メーカーだ。ウイスキーやブランデー、ワインを貯蔵し熟成させる洋樽を国内で製造しているのは今や有明産業だけなのである。その洋樽への特化で、有明産業は企業革新を果たした。酒造会社向けに一升瓶を運ぶ木箱を製造し、併せて現場労働、倉庫管理、運送などを請け負うのが元々の有明産業の仕事だった。1963(昭和38)年、小田原伸行社長の祖父が京都府宇治市で創業した。最盛期には年商20億円を超えるまでに成長したが、プラスチック箱の登場、製造現場への労働者派遣の解禁(2004年)により、業績は減少の一途をたどるようになった。

大学卒業後、千葉県のフォークリフト会社に勤めていた小田原社長が、家業を継ぐべく戻ってきたのは、ちょうどそんな時期だった。当時社長だった父は「帰ってこなくてもいい。会社の先行きは暗い」と言ったが、「ならば自分が頑張って何とかする」と入社し、営業に駆けずり回ったものの業績は回復しない。年商は2億円にまで落ち込んだ。見切りをつけて去っていく社員も相次いだ。小田原社長はこのとき、「たとえ、売り上げが上がらなくても雇用は守れる会社にしよう」と決意した。「あのときです、自分に経営者としての意識が芽生えたのは」と振り返る。

取材・文 中山秀樹 
写真提供 有明産業株式会社

本記事は、月刊『理念と経営』2018年1月号「本気の企業革新」から抜粋したものです。

理念と経営にご興味がある方へ

SNSでシェアする

無料メールマガジン

メールアドレスを登録していただくと、
定期的にメルマガ『理念と経営News』を配信いたします。

お問い合わせ

購読に関するお問い合わせなど、
お気軽にご連絡ください。