企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
現場力
2026年2月号
学歴には終わりがあるが学びに終わりはない

さまざまな事情で義務教育を十分に受けられなかった方が多くいます。「読み・書き・算盤」を学ぼうと夜間中学に行かれる人もいます。「読み・書き・算盤」は考える力の基本であり、大学の卒業証書より重いのです。
現場で働きながら身につけた「実践知」
学ぶことは人間が人間らしく生きる幸福の入り口です。夜間中学に行き直しなさい、という意味ではなく、学歴が低くても実践という学問をすることで自らを鍛えることができるのです。
松下電器産業(現パナソニック ホールディングス)を創業された松下幸之助翁は、和歌山の雄尋常小学校を四年で中退し、九歳で大阪の火鉢屋さんや、自転車屋さんの現場で働きながら、実践で学力を身につけました。
未来を読む力があり、現実の状況から物事の本質を読み取って、それらが数年後どういう問題を引き起こすか考え、「読み・書き・算盤」を磨かれたのです。その努力のかいがあって、後年「経営の神様」と呼ばれるような偉業を成した人です。
日本の教育は記憶学習の比重が大きいのが実状です。詰め込みや暗記を重ねれば「考える力」は弱くなります。イギリスの経験論哲学では、フランシス・ベーコンやジョン・ロックらが、人はいろいろな体験を通して感じ、それらの小さな感性の束が集合体となって「知」は生じるという解釈をしています。
慶應義塾大学の認知心理学者である今井むつみ教授は、「詰め込みによる暗記は、いわば〝死んだ知識〟の集積といえる」と指摘しています。
つまり、松下幸之助翁は、職場や仕事や対人関係という体験を通して「感じる力」や「考える力」を鍛錬して磨き、目の前のことに集中して学びとりました。自転車の微妙な部品のズレが、どういう故障を生むかを認知し、獲得した「実践知」の総力を結集して、「どうすれば修理できるか」を体得していったのです。
先人の知識にはヒントが詰まっている
「温故知新」という言葉は、『論語』の「故きを溫ねて新しきを知る、以て師と爲るべし(爲政第二)」から来ています。意味は「古いことを尋ねてそこから新しいことを知る者は、人の指導者になることができる」ということです。
人間は古来より言葉をつくるまでに膨大な進化をしてきました。古いこととはそれらの進化のことであり、誰もが脳内に多くのノウハウを蓄積していることだと思います。長い歴史の中で先人が紡いできたノウハウ(実行して考えて出した答え)を尋ねるのです。そして、そのノウハウに自ら得ている「新しい」ことを加えていけば、現在の抱えている問題やチャンスに必ずプラスに働くのです。読者の中には、可能思考研修をご受講されている方も多いと思います。
可能性に気づくとは、古の先人たちがつくり出した知識(認知して体内に蓄積されたもの)を、あなた自身が実践し、そこにあなた自身が日々の仕事や体験で得た知識を加えていくことです。そうすれば、問題解決や、ビジョンをかなえる新しい発想が、湯水のごとく湧いてきます。
松下幸之助翁は、小学四年で、働きに出ました。病弱でしたから勉強する時間も少なかったといわれますが、仕事に対する熱意、珍しいものへの好奇心・関心は、「未来の創造性」として蓄えていかれたのです。
本記事は、月刊『理念と経営』2026年2月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
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