企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
現場力
2025年10月号
幾多の困難を 全員経営で乗り越える

「働き方改革 若手が離れた」。これはある新聞記事の見出しです。「時間に縛られずにもっと修業がしたい」「もっと働いて将来は独立開業したい」と、健気に生きる若者の夢を、国は奪ってはなりません。
今行かなかったら、亡くなる時、後悔する
 七歳で相撲に魅せられたダニーロ・ヤブグシシン少年の夢は、「日本で力士になる」ことでした。その夢をかなえるためにどうすべきか? ウクライナの最も住みやすい街で一七歳の青年が下した決断は、国境を越えて日本に行くことでした。
 しかし、二〇二二年二月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、相撲の稽古どころではなくなってしまいました。夢を実現するために頼ったのが、日本人で唯一親交のあった関西大学相撲部(現・同部コーチ)の山中新大さんでした。「日本に行けませんか?」と率直に頼んだのです。
 二人の出会いは一九(令和元)年に大阪の堺市で開催された相撲の世界ジュニア選手権大会です。ダニーロ選手は、当時一五歳で個人男子中量級に出場して銅メダルに輝いたのです。相撲の強さだけではなく、何事にも健気に取り組むその姿が、山中新大さんの脳裏に焼きつきました。
 自分の夢を叶えたいという健気なダニーロ選手は、ドイツに住む両親に思いを伝えます。「やるなら今しかない。行かなかったら、亡くなる時、絶対に後悔する」。健気とは「一途、ひたむきな」という意味です。
 山中新大さんの神戸の自宅にホームステイし、関西大学や兵庫県の報徳学園の稽古場で、稽古を再開します。母国の戦禍に心を痛めながら必死に自分を鍛えます。健気な生き方をする人は、心理学者のアルバート・バンデューラ教授の言う「自己効力感」が非常に高いのです。
 安治川部屋に運よく入門し、二三(同5)年九月場所で「安青錦」として初土俵を踏みます。所要九場所で史上最速新入幕タイ記録を果たし、二五(同7)年の春場所に次いで、夏場所でも、土俵を沸かせました。
公益を優先し、重たい荷物を担ぐ人
 橋本好正氏が、鉄筋のガス圧接を行う株式会社アクティスを創業したのは一九七七(昭和52)年、四〇歳の時です。「国家建設」に貢献すべく、高いビル建設の「安全・安心」をサポートしようというのが創業の精神です。そのためにはビルの強度を高める「継手」が不可欠でした。創業者は若い頃から公益を優先する志が高く、その分重たい荷物を平気で担ぐ人でした。
 南直浩工事部部長が深夜まで仕事に取り組み、人のために役立つことに価値を置くのは、橋本創業者の高い志に共感しているからです。
 橋本創業者と私との出会いは可能思考教育の第六期TTコース(企業内教育インストラクター養成コース)でした。二百数十名の経営者や幹部が学ぶ中で、業界の悩みをよくお聞きしました。業界の未来を憂い、何度も大粒の涙を流されました。業界団体の勉強しない体質に、強い危機感を抱いておられたのです。
 創業者の意志を汲み、継手の技術を生かしながら、鉄道の線路に的を絞ったのが河村貴夫現社長です。「鉄道を守る」いう考え方でアクティス独自の技術を開発し、創業者の志である「国家建設」を心に秘めて、高いビルの建設のめどがついたことで、国土開発の課題の一つである鉄道事業に取り組みました。「海外への技術指導」というビジョンも描いておられます。
本記事は、月刊『理念と経営』2025年10月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
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