企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

あなたは「模範」になれますか

日常業務における現場は、管理力で述べた三つの貢献の中でも第一の「直接の貢献」を実践する場です。それだけにセルフマネジメントがとても大切です。自らを磨き成長してこそ、将来ハイパフォーマーとして貢献できるのです。

自己成長こそが最大のマネジメント

  ドラッカー博士のほとんどの著書を翻訳され、ドラッカー博士の存在を知らしめられたのが上田惇生先生です。その翻訳の中で一番印象に残るのは、ドラッカー博士が生涯忘れずに大切に守り続けた次の言葉です。
「私が一三歳のとき、宗教の先生が『何によって人に憶えられたいかね』と聞いた。誰も答えられなかった。すると、『答えられると思って聞いたわけではない。でも五〇になっても答えられなければ、人生を無駄に過ごしたことになるよ』といった」

 実にさりげないエピソードですが、何か困難な出来事に出遭っても、生涯忘れずに一三歳のときの言葉をかみしめて自らを導かれたのです。次のようにも語っておられます。
「今日でも私は『何によって人に憶えられたいか』を自らに問い続ける。これは自らの成長を促す問いである。何故ならば、自らを異なる人物、そうなりうる人物として見るように仕向けてくれるからである」

 言葉はとても大事です。言葉によって、人は自分を律することができます。自己をマネジメントする最大の方法は「言語的説得」です。

 現場力とは自分をマネジメントする力のことです。一つの製品をつくる上でも、さりげないおもてなしでお客様の心に安らぎを与えるにしても、あなたのすべての行為は、自分が持つ心や言葉から生まれます。

 さらに上田惇生先生は、「学ぶことのできない資質、習得することができず、もともと持っていなければならない資質がある。他から得ることができず、どうしても自ら身につけていなければならない資質がある。それは才能ではなく、真摯さである」というドラッカー博士の言葉を紹介しています。

 真摯さとは、ひたむきな、熱心な、あるいは、誠実という意味ですが、なかなかこの状態を保つことは難しい。嫌なことがあると、つい感情的になり、相手への非礼な態度となって表れます。

ハイパフォーマーは自己管理能力が高い

 ドラッカー博士は、「自分をマネジメントできない者が、部下や同僚をマネジメントできるはずがない。ほかの人間をマネジメントすることは、主として、自分が模範となることによって行うことができる。自分の仕事で業績を上げられない者は、悪しき手本となるだけである」と、手厳しいです。

 あなたも将来、部下を持つ上司になるかもしれません。今日から、目標達成能力や、自己成長欲求の高い人財として、自分の可能性の実現のために、自らを管理する能力を前向きに手にしながら努力してください。

 自己管理が苦手な人は、約束を守らなかったり、遅刻したりするなど時間管理ができていません。感情をコントロールするのが苦手で、コミュニケーションに課題が生じ、個人間だけでなく組織の報告・連絡・相談・確認が後手に回ります。素直さや謙虚さに欠け、お金や物の管理も不得手です。マネジメント能力を徹底して身につけるべきです。

本記事は、月刊『理念と経営』2025年5月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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