企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

無理にでも「努力の力」を信じよう

人間の差は何から生まれているのでしょうか。一代でニデック(旧日本電産)という会社を築いた永守重信氏は「人間の能力の差は五倍、意識の差は一〇〇倍」と述べています。可能思考能力とは物事を肯定的に解釈する力であり、努力を信じる力です。

若いときにしかできないことがある

 高い成果をあげるハイパフォーマーになるために、若いときから目標を明確に設定することをお勧めします。できれば一〇代で自分の「小さな柱」をつくるのです。仕事先やアルバイト先で「仕事を通しての『小さな柱』づくり」を始めていけば、次の年代になったときの準備としても大いに役立ちます。

 多くの人が、「若いからまだ早すぎる」と思いがちですが、若いときにしかできないことがあります。小さな柱がなければ、将来の大きな夢を実現することはできません。

 では、小さな柱とは何か。「努力の力」を信じる自分を確立することです。最初は信じていなくてもいい。しかし、「努力の力」というものがあることを無理に信じて、今の職場で努力してみるのです。試してみるのです。やり続けてみるのです。

 例えば、あなたが一つのものを完成させる業務に、一時間かけているとしたら、五分でもいいから時間を縮めるという目標を持ち、自分で工夫をするなど、とにかく挑んでみるのです。そういう小さな体験を積み重ねていくうちに、努力の力が無意識に体得されていきます。

 いろいろな報道や本では、成功した姿や目標に向かって挑む格好いい場面が登場します。そこに目を奪われては本質を見失います。見たり聞いたりするだけではなく、実際に試し、実行することで、一〇年後には大きなものを得ることができます。

 アメリカには「You pay the price(代償を先に支払え)」という慣用句があります。言い換えれば、「若いときの苦労は買ってでもしろ」「報われない努力は絶対にない」ということです。先人の言葉には知恵が詰まっています。

 事実、スタンフォード大学の心理学者、アルバート・バンデューラ先生は、自己効力感の研究で、「努力したらできると信じることで、脳が全力で自分の潜在能力を引き出す」と、結論づけています。

思考は必ず「現実化」する

 「できる・やれる」という思考を可能思考能力と呼びます。アルバート・バンデューラ先生は、これを「自己効力感」と呼び、「自分は目標を達成できる」という信念のことだと定義しています。思考は必ず現実化するのです。

 ところが、不可能思考が身につくと、「できない」と思った瞬間、人間の持つ三〇%の潜在能力しか発揮されず、七〇%の可能性を司る能力発揮を失います。あなたの予測通り「できない結果」をつくります。

 現場力とは、お互いが自己の可能性に気づき、それを最大限に生かす力のことです。ハイパフォーマーの共通条件は、「報われない努力は絶対にない」と強く信じていることです。その上で努力するから高い成果が生まれるのです。

 アルバート・バンデューラ先生は、「できないと思うと、心がその考えに従い、身体もパフォーマンスもすべてが低下してしまう」と指摘しています。まるでエンジンが故障した車のように動きません。

 可能思考能力は、一人ひとりの人間力・考える力・仕事力・感謝力の中核に位置して、「できる、できる」とあなたを励ましながら、ハイパフォーマーを育てているのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2025年1月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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