企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

「ビジョン」という望遠鏡を持て

「考える力」を強化するには、社内にいる人間力・考える力・仕事力・感謝力の高い人をモデルとし、仮にいなければ、業務の上達のために高い目標を持つことです。自分の業務を「観察」し、成功や失敗の体験を通して、自らの考える力を強化してください。

現場になぜ、「観察力」が必要か?

 「考える力」には、ごく小さなことにでも機能する「顕微鏡」が必要です。立派な企業には、その企業を立派にする「考え方」を持った経営陣と、その経営陣をサポートする、機敏で革新的な「考え方」をする経営幹部がいて、管理的意思決定を行います。その進捗を通して成果をつくります。具体化された実行は現場が担います。業務を通し「考える力」を強化して、人間力・考える力・仕事力・感謝力を磨く力が現場力です。

 どの会社の組織階層も概ね四階層に分かれます。これは権力を示すものではなく、お客様の問題を解決し、顧客満足の経営を実現し、存在価値の高い立派な会社にするためのものです。役割や業務を分担し、任務を明確化するとともに、成果をつくり出すための指示・命令の流れ、報告・連絡・相談・確認を見える化したものです。

 組織は、個人では不可能なものを可能にするために存在します。組織化としての第一条件が、組織の目的を全階層が共有することです。第二条件は、目的達成のために「協働の自発性」をお互いが発揮することです。第三条件は、目的の共有や、協働の自発性の発揮のためのコミュニケーションが全階層に求められます。それだけに、現場力の「考える力」はとても重要です。

 現場には「観察力」が求められます。お客様の情報に敏感になり、顕微鏡のようにお客様の困りごとを観察して、お客様がお気づきになられていない問題点を、上司に報告しなければなりません。財務の状態、業績状況、人財育成の問題などを観察し、少しでも早く上司に伝えて、その対策を考える「力」が必要です。理由は「お客様の声」「現場の声」として情報を上げる責任があるからです。

積極的に他流試合をしよう

 また、OFF-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング、職場外教育)などの他流試合をお勧めします。そうした各研修機関では、優劣の差を厳然と突き付けられたり、圧倒的に有能なモデル(良いお手本)との出会いもあります。「論理立てる力が高い」「リーダーシップが優れている」など、優れたモデルを観察する機会ができます。

 自社のプロジェクトチームのリーダーに立候補すれば、経験を多く積むことで観察力を養うこともでき、結果として自分の固定観念やリーダーシップの欠如、「考える力」の歪みにも気づくこともできるのです。

 それらが一つのモチベーションとなり、さらに視野の広い「双眼鏡」も身につくのです。お客様の中期の経営状況はどうなるのか、など外部環境にも意識が向き、将来的に「管理階層になる立場」の社員として、観察力に加えて、物事の本質を見きわめていく洞察力が強化されます。

 洞察力は見えない本質的な事柄や、根源的なものを見る眼であり、気づきの能力です。洞察力は、仕事や対人関係を通して無意識に訓練し、いろいろな情報や体験、データなどを統合する力を与えます。欠如すると、「考える力」が表面的で目先だけになります。

本記事は、月刊『理念と経営』2024年10月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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