企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
現場力
2024年9月号
心から畏敬の念を 持てる人はいますか
目標実現能力の高い人は、自己成長欲求と貢献欲求の二つを駆使して学びます。人事評価の際は、基礎力・基本力・応用力を階層的に明確にしていく必要があります。そして、基礎力である人間力・考える力・仕事力・感謝力を強化することが大切です。
教育とは、天分を引き出す方法
人の本性については性善説、性悪説、そして、性白紙説があります。孟子は「性善説」で、人の性は善だとして、「それを引き出すためには教育が要る」と主張します。日創研もこの説をとり、本来の自分を取り戻す「可能思考能力」をテーマに論理立てて体系化しています。
一方、「性悪説」を唱える荀子は、人の性は悪だとしますが、「教育によって十分善になりうる」と、やはり、教育の必要性を説きます。イギリスの哲学者ジョン・ロックは、「人は生まれたときは文字の書かれていない白紙の状態であり、経験によって知識を獲得する」と、「性白紙説」を主張します。告子も「性白紙説」をとりました。いわば、「人は教育如何によって善にでも悪にでもなる」という主張です。
小誌『理念と経営』は「性善説」です。人間は生まれながらに「自分」を持っています。自分の「自」は「したがう」という意味を持ちます。「分」は「天分」という意味で、生まれもって与えられた天分に従いなさい、と解釈することができます。教育とは天分を引き出す方法です。
「学校の学習だけでなく、仕事を通して、その仕事で自分の長所を活かして、お客様に貢献しましょう。お客様の歓びや、職場の仲間が楽しくなるように、仲間を応援しましょう。両親を大切にし、家族を大事にすることが本来の学びなのですよ。嫌なことがあってもめげずに、努力を続けることが、本来の自分の実力向上の最高の学びなのですよ」というメッセージを込めています。そして、「そういう真理に気づくことができるのは、理論理屈ではなく、具体的な実践をすることなのですよ」と主張しています。
人を尊重する姿勢が人間力を磨く
あなたが尊敬してやまない人は誰ですか。その人の前に行くと自然に背筋が伸びる、という人です。学校の恩師やお客様、会社の上司や同僚、ご両親などに対して心から畏敬の念を持つことができるのは、あなたが人間力に優れているからです。
畏敬の念を感じている対象の方は、多分、ひたむきに善い行いをし、素直に人の言葉に耳を傾けているはずです。時にあなたに厳しかったり、あなたが困っているときには励ましてくれたり、あなたの能力を引き出そうとチャンスをくれたり……。そういう方がおられるから、あなたの「本来の人間力」が引き出されているのです。
仮に、敬う気持ちはあっても「近づきにくい」「厳しい」と感じて相手を遠ざけているとしたら、あなたの人間的な成長は、まだ不十分かもしれません。人生は自分の都合のいいようにはいきません。
都合の悪いことが起きたとき、そこで何を感じるか、あるいは感じたものを払いのけて、「やり抜き続ける」ことができているか、回避している傾向が強いかが、あなた自身の今の人間力だといえます。
あなたの周囲には尊敬できない人もいるでしょう。しかし、そこを避けては人間力は磨けません。その相手を受け入れるだけの「人間的な器」ができていないのです。
本記事は、月刊『理念と経営』2024年9月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
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