企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

自らのビジョン実現に挑もう!

現場力とは単調な業務にも創意工夫を加える力です。ⅰPS細胞でノーベル賞を受賞された山中伸弥先生は、来る日も来る日も研究を重ね、単調な日々を乗り越え偉業を成し遂と げました。「V(ビジョン)」と「W(ワークハード)」が不可能を可能にするのです。

研究は長く単調な日々の繰り返し

 中学に入り、ヒョロヒョロに瘦や せていた山中伸弥先生は、会社の経営者だったお父さんに「こんなんじゃダメだから柔道をやれ」と言われて柔道を始めたそうです。「柔道は単調な練習の繰り返しでいかに頑張れるか、単調だと我慢ができないですぐに飽きる」と述べています。

 しかし、単調な仕事をどう自分なりに考えて肯定的に解釈するかで違うモノが見えてきます。解釈次第、考え方次第です。つまり、自らの仕事を自らに意味付けをすると、継続する力や忍耐力や我慢強さが身につきます。「これがまさに今の研究に役立っている。研究はもっと長く単調な日々の繰り返しで、一年に一回成果がでることなんてなくて、五年に一回とか一〇年に一回とかの単位です。柔道で忍耐力が身についた。忍耐力がない人間は、途中であきらめる」と述べておられます。

 高校生のときにお父さんが入院します。そのとき、「お前は長男やし、ほんまは会社を継いでほしい」と言われます。「それまでオヤジちゃんと元気で生きとってほしいな」と父にお願いすると、「しかし、お前は経営者に向いていない。医者になったらどうや」と言われたのです。

 そこでも山中伸弥先生は父親の言葉を前向きに解釈します。「オヤジみたいに病気になった人を救うのもありかもしれん」

 一九八一(昭和56)年神戸大学医学部に入学し、整形外科医を志し、卒業後に国立大阪病院の臨床研修医になります。

今の医学では治せない病人をどうして救うか

 しかし、医師になって二年目に直面したのは父親の死です。八八(同63)年、「父の病に対して自分はなんもできへんかった。医者になったのにオヤジを助けれんかった」。父のご遺体をみながら無力感に襲われます。

 しかし、このときも前向きに肯定的に解釈し直します。「今の医学では治せない病気にかかった人をどうやったら救えるんや」と、自分に問いかけます。二五歳のときです。

 人間には本能として「自己成長欲求」と「貢献欲求」の二つの欲求があります。現場力とは「自己成長欲求」の強さです。その強さが「貢献欲求」を生み出していきます。この二つの欲求の強弱が、物の見方・考え方を前向きにします。すべて解釈次第です。

 「今の医学では治せない病気にかかった人をどうやったら救えるか。やはり研究だ」と、次の道「医学研究医師から研究者」へ転向します。そして、不可能を可能にしてⅰPS細胞作製という奇跡のような研究を実らせます。九三(平成5)年、カリフォルニア大学サンフランシスコ校に留学し、グラッドストーン研究所で「ある遺伝子」を発見。いくたびもの試練を経て「ⅰPS細胞」の作製を成し遂げたのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2024年7月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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