企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

会社の発展はすべて「社員次第」である

三和建設の経営理念と、それに伴う「人が主役のマネジメント」は、簡単に真似できません。採用の選考基準は理念共感型と成長型を軸にし、横のつながりを大事にして育成しています。「会社の発展はすべて社員次第」という思想が経営の本質です。

風通しをよくするSODAの仕組み

 三和建設には組織の風通しをよくするSODA(社内日報システム)があります。最大の特徴は双方向と同時性があることです。書き込みができる掲示板あるいはSNSのような仕組みです。社内向けの受け皿と営業支援の機能を兼ね備えているのです。

 内容を入力すると即座に全社員に公開されます。報告の伝言ゲームを防ぎ、情報がそのまま共有されるので、バイアスもなく、不都合な情報隠しも起こりません。

 とくに感銘を受けたのは行動指針が明確に決められ、それを三和建設の全員が理解、把握していることです。トップは良いことを言っているのに、社内体制はガタガタという会社があります。トップマネジメントの行動指針やミッションと現場にギャップがあるからです。

 例えば、私が携帯電話を忘れたとき、こんなことがありました。一番悪いのは私なのですが、新幹線を降りてから携帯電話を新幹線の中に置き忘れたことに、タクシーの中でふと気づき、降車駅まで引き返して、「座席に携帯電話を置き忘れているので調べてほしい」とお願いしました。ところが、窓口の人は「お掃除係からの報告には携帯電話の忘れ物はありません」とそっけなく告げるだけでした。

 「必ずあるはずですから座席まで行かせてもらえませんか?」とお願いすると、「ないという報告です。あれば見落とすことはありません」の一点張りでした。仕方なくホテルに入り秘書に連絡すると、しばらく調べた結果「携帯電話会社のGPSからの情報では、新幹線内にあるそうです。明日には〇〇駅に取りにまいります」という返事でした。

 つまり、多くは現場の対応力や親切心、共感性が会社の盛衰を決めるのです。三和建設の森本尚孝社長が言われるように、「会社の発展はすべて社員次第」なのです。

 

正直でオープンな風土をつくりだす

 二三年間、「経営理念塾」を実施してきて感じる、素晴らしい会社の共通項は、「正直である」ということです。人財育成の手順は「第一の基礎教育(人間力・感謝力)」「第二の基本教育(考える力・仕事力)」「第三の応用力(スキル・ノウハウ・応用)」ですが、三和建設がすごいのは、経営理念に共感した人と自己成長欲求の強い人が多い組織だということです。

 行動指針には「誰に対しても、言うべきときに、言うべきことをはっきりと述べ、そして傾聴します」とあります。この大切さを、森本社長は繰り返し伝え、正直でオープンな風土になっています。

 経営理念とは、組織の価値観ですから、価値観がどれだけ共有されているかがとても重要です。

本記事は、月刊『理念と経営』2023年3月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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