企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

仕事の最大報酬は「達成感」である

「人が主役のマネジメント」とは、現場の一人ひとりが積極的に経営に参画し、業務スキルを磨き、自分の周りで起きる出来事を自分の事として受け止めている状態のことです。貢献意欲、成長意欲、自主性・自発性が、現場のエンゲージメントの要因でもあるのです。

個々の自主管理が求められる時代

 〝マネジメントの父〟ドラッカー博士は、自主管理を奨しょうれい励しました。上司に指示されて取り組む目標は、受け身になり最悪の場合、やらされ感でいっぱいになります。そうなると、お客様も、上司も、会社も、何よりも現場自体がハッピーではないのです。
 
 人が主役のマネジメントとは、受け身でなく、やらされ感のない自主管理を基本とした業務の推進です。つまり、①自分で考え、時に周囲にアドバイスを求めながらも自分で計画を立案することであり、②その立案したことを自分の意志で具体的に実行することです。
 
 その上で、③自ら目標の進しんちょく捗度を確認・マネジメントして、そのギャップの分析や達成要因から学ぶのです。④最後は週次や月次の目標の結果を明確にして、結果管理ではなくプロセス管理をして、評価・反省を次の計画立案に大いに活 かすのです。
 
 この自主的・自立的な計画・実行を通して達成した目標だからこそ、達成感が生まれます。その達成感が自己効力感や遣り甲斐い、生き甲斐を生み出すのです。仕事の最大報酬はやり遂と げたという達成感です。
 
 PDCAフォーマットは、達成するための具体的手法であり道具です。人が主役のマネジメントとは、任務に応じた自主管理が基本です。目標実現能力を高めることで、自ら貢献意欲が湧 いてくるのです。

働く一人ひとりは現場の経営者である

 ドラッカー博士は、「貢献に焦点を合わせることによって、コミュニケーション、チームワーク、自己啓発、人財育成という、成果をあげるうえで必要な基本的な能力を身につけることができる」と述べています。(P・F・ドラッカー/上田惇生訳『経営者の条件』ダイヤモンド社)
 
 なぜ『経営者の条件』から言葉を引用したかといえば、働く一人ひとりは現場の経営者であり、自らが自主的に決めた目標だからです。会社は社長の人間的な器以上にならないといわれるように、目標の結果も貢献意欲に影響を受けます。
 
 その貢献意欲は目的や目標の有意義性の気づきによって決まり、意義や意味を感じる力は、その人のコミュニケーションやリーダーシップ、仲間との関係性を強化します。同僚も上司も部下も、アルバイトさんも、お客様もすべて「サクセスパートナー」なのです。
 
 私は長年社員さんのエンゲージメント診断を担当し、無記名記入で質問の回答をパソコンに入力していただきます。営業所別や組織全体など六分野にわたって調査・分析し、エンゲージメントの見える化を、スコアの高さなどで数値化しています。働く人のエンゲージメントに比例し、不思議に顧客エンゲージメントが高いことを実証しています。
 
 理由は、人が主役のマネジメントは、単なる考え方ではなく、具体的な実践だからです。顧客の悦よろこび、働く人の歓び、会社の喜びを具体的に追求し、それらの指標の観点から組織の改善や改革をします。どの部署がボトルネックかの発見は早い方がいいのです。
 
 現場力はとても大切なものであり、どんなに立派な経営計画を立案しようと、現場の目標達成のコミットメントが低ければ、会社の成長はありません。つまり、中堅・中小企業は定型的で合理的なマネジメント手法ではうまくいきません。

本記事は、月刊『理念と経営』2023年2月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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