企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

好奇心を持てば熱意が湧いてきます

厳しい時代こそ大きな夢を抱き、未来を切り開いていく力が現場力です。企画は企画で、生産は生産で、販売は販売で、それぞれの個性を発揮してトータルに価値を生み出す原点は現場にあるのです。

「どうすれば価値を生むか」に興味を持つ

 現場はある面、研究者のような好奇心を持つ必要があります。わかりやすくいえば、現場で起きる出来事に「WHY」を持ち続ける必要があるのです。現場に「これでいい」という答えが出たとき、仕事への慢心は生じても、それ以上の価値は生まれてきません。
 例えば商品企画をする立場にある人が、なぜ一昨年と同じようなデザインなのか、お客様は飽きていないか、実際の売れ行きはどうなっているか、という疑問を持てば、そこから価値を生み出していくことができるのです。
 ある食品加工の会社では、食品のパッケージに工夫をして、三種類の商品を三段重ねにして売り出しました。ところが、計画したようには売れません。
 生産部門は販売部門の努力不足の責任にし、販売部門は価格と味つけの不具合を指摘して生産部門を責め、揚げ句の果てには商品企画をした担当者を批判します。
 現場力とは、「どうすれば生産性の高い組織にできるのか?」について、企画部門も、生産部門も、販売部門も、お互いが前向きな意見交換をすることです。
 そのためには、三者がワンチームになるべきで、批判し合っていては組織になりません。「ヒット商品にする」という共通の目的を持ったとき初めて組織化されるのです。批判や反抗をしているときは部分最適でしか物事を見ていません。「自分の担当は自分の担当」「他の部署は他の部署」という割り切りが最大の障害になります。
つまり、共通の目的も生まれず、協働の自発性や意欲は弱くなるばかりです。結果、組織のコミュニケーションも、仕事のコミュニケーションも、個人としてのコミュニケーションもなく、バラバラ集団と化してしまいます。その後この会社はプロジェクトチームをつくり、無事にパッケージのデザインなどを変えて、ヒット商品にしていきます。ワンチーム思考、好奇心が根底にあれば成功します。
 好奇心は熱意の生みの親です。アイデアや、現場の改善・改革の可能性が湯水のごとく湧き出てくる源泉なのです。どこかで横道にそれたり、夢を失ったり、ひねくれたり、夢の無い人生を送る人のいかに多いことかとつくづく思います。

健全な好奇心がもたらすもの

 宇宙に好奇心を持つ小学二年生の大森生君は、われわれ大人のモデルと言っても過言ではありません。
 ミ歳のときに福井県の児童科学館で太陽系の惑星に関する展示を見て、宇宙の世界にのめり込みました。
 同じように、われわれ大人はもっと好奇心を持つべきです。0自己をどれだけ成長させるか、②今の商品を革新してどのようにすればヒットするか、③お客様のお困り事をいかに解決するか、④どうすれば会社を立派にできるか、こうした健全な好奇心に目を向けるべきです。
 好奇心を持ちさえすれば熱意が湧いてきます。シリコンバレーにおられる『コア・コンピタンス経営』の著者の一人、ゲイリー・ハメル教授もおっしゃっておられます。「経営において大切なものは、熱意や情熱である」と。
 つまり、現場力で欠かせない一番大事な要素は、「熱意」です。そのためには小成に甘んじず、夢を大きく持つことです。大森陽生君はテレビでも新聞報道でも、「ダークマターやブラックホールなど、分からないことがたくさんあるのが魅力だ」と、宇宙飛行士の夢を語っていました。
 その夢の実現のために、体を鍛えるべく訓練をし、語学力が必要だと英語の猛勉強をして、宇宙旅行士になる準備に余念がありません。

本記事は、月刊『理念と経営』2022年10月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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