企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

人は誰かのために生きている

インテックスの現場には、明確なビジョンがあります。廃棄物ゼロの社会を目指し、観光農園で街おこしをしながら、廃棄物をエネルギー源として活用しています。社長と専務のビジョンを全員が形にしています。

良いお手本になろう

 「モデリング」という手法があります。優れたモデル(手本)を見ると、視覚、聴覚などが素早く察知し、そっくり真似をします。
 現場力とは、第一に決められた通りのオペレーション(作業工程)から逸脱しないことです。仮に、先輩であるあなたが悪い手本を示せば、後輩たちはそれを真似します。
 危険区域などの作業の現場に悪いモデルがいると、結果的に事故の多い社風がつくり出されます。また、先輩が報告・連絡・相談・確認を軽視すれば、後輩はそのまま真似て、情報を独占し、開示しない社員に育ちます。それだけで多くのビジネスチャンスを失い、会社に損失を与えます。
 この春、新入社員を迎えた会社も多いと思います。新人はまず見て倣うことでいろいろなことを覚えます。言葉より、あなたの身だしなみや話し方、仕事の仕方や考え方をそのまま脳にインプットします。やがて、その新人は一年後に先輩としてどのようなモデルになっているでしょうか。
 インテックスの福井英二専務は、会社が小さな個人企業だった時代に金山昇司社長の志に惚れ込んで入社し、ナンバー2とし
て金山社長や部下たちに尽くしました。私のセミナーで金山社長と一緒に学び、経営理念体系づくりの合宿で二人がディスカッションする姿を覚えています。
 明治の森国定公園の中にある会場の「箕加古川山荘・明徳庵」で、「世の中に廃棄物はないんだ」と断言する金山社長と、ゼ口・エミッション(排出物ゼロ)の夢を語り合ったのです。

「このままじゃイヤだ」という金山社長の念い

 経営学者のピーター・ドラッカー博士は、「あらゆるものは陳腐化する」と述べています。どんなに人気の商品やサービスでも必ず飽きられるときが訪れる。どんなに性能の良い機械や技術でも、新しい技術や製品が次々に世に出てきて、競争に負けてしまう。そういう経営の厳しさを前提に論理立てています。多くの社長は一抹の怖さを持ちながら挑んでいるのです。
 インテックスは売上高三十数億円、経常利益率も一〇%という好業績で、次のビジョンに向かっています。最高のモデルである福井専務が大きく貢献していたのです。以下は金山社長の手記です。
 高校卒業後私は、父が二〇年以上一人で商ってきた古鉄収集の金山修一商店で働くことになりました。それから一二年が経ち、私が三〇歳になった頃です。少しずつ体力の落ちてきた父を見ていると、ともに働いてくれるパートナーが欲しいと思うようになりました。と同時に、「いつまでも小さな商店のままじゃイヤだ」という強い思いが湧いてきたのです。
 早速ハローワークに行き求人を出しますが、誰一人として応募はありません。このまま小さな商店の店主として、一生一人で働くのだろうか。言いようのない閉塞感に包まれた私が頼ったのが、高校の同級生であり友人であった福井英二なのです。彼とは気も合い、人柄もよく信用できる男で申し分ないのですが、当時は地元で大手とされる産業廃棄物処理会社に勤めていました。その上、一部署を任されていたリーダーです。
 結婚もしていましたし、どう感風目に考えても今の会社を辞めて給料は下がり保険も事務所も無い商店である私のところに転職する理由がありません。

本記事は、月刊『理念と経営』2022年4月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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