企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

ハタ(周り)を楽にすれば、自己の存在価値も高まる

"経営の神様"といわれる松下幸之助は「絶えず大事に直面してもうろたえるな」と言っておられたそうです。
幼少年期の不遇が大人物を育てたのです。現場力とは単に策を弄するのではなく、大局からものごとを見て、冷静沈着に実践する力なのです。

【人間力を磨いて明徳を明らかにする】
少年期に流した涙は、青年期に心を横」花を咲かせます。そして中年期に実となり老年期に見事に熟成していくのです。コロナ禍の中を新入社員さんが入社されますが、心に傷を持つ人もいるかもしれません。しかし、そういう若者たちにこそ可能性があるのです。ちやほやされて入社した人よりも、学生時代に重荷を背負った体験が入社後に活かされると思います。現場力とはどんな困難にも耐え抜く力であり、そこから創造性や生き方のヒントを自力で発見していくのです。彼ら彼女らが人間力を磨いて明徳(誰もが持つ天与の能く鍛力)を明らかにすべく、先輩として自らを鍛錬する力が現場力です。松下幸之助翁は自らの体験を、自らの言葉で語りました。人から教えられた借りの模範解答を口にしません。実践して自得したことや、体験の中から深く考え抜いたことをお話しされるだけです。「いいかげんな仕事をやって、いいかげんにすごすことも、時には見のがされてすぎてしまうこともある。
つまりひろい世間には、それだけの包容力があるというわけだが、しかしこれになれて世間をあまく見、馬鹿にしたならば、やがては(略)身のしまるようなきびしい思いをしなければならなくなる」(松下幸之助『道をひらく』PHP研究所)どんなにデジタル社会になっても、自分の命を正しく使えない人は、うまくいっているように見えても、必ずどこかで起雲が合うようになっているのです。

【世間は厳しさと温かさの両面を持つ】
前回の一二月号で、働くとは「ハタをにすること」と定義しました。戴偽はわかりませんが、大学の理事長が建設工事に関して多額の裏金を得ていたという容疑が報道されています。
働くことの意義や崇高さを教える者が、人間性を疑うようなハタに迷惑をかける行為は、まさに日本の指導層の一断面を象徴するような事件です。「真剣に仕事をやれば知恵が出る。中途半端に仕事をすれば愚痴が出る。いい加減に仕事をすればいいわけが出るのです」。ある食堂で見かけた言葉です。現場力とは知恵を出す力のことです。
誰にも備わった明徳を明らかにするための最大方法が仕事であり、仕事の質を高めれば高めるほどハタを楽にする力が身につきます。ハタを楽にすればハタから尊ばれ、自己の存在価値も高まります。これこそがビジネスの本質ではないでしょうか。「いい考えを持ち、真剣な努力を重ねても、なかなかこれが世間に認められないときがある。そんなときには、ともすると世間が冷たく感じられ、自分は孤独だと考え、希望を失いがちとなる。
だが悲観することはない」(松下幸之助『道をひらく」PHP研究所)
つまり、幸之助翁は、世間は厳しさと温かさの両面を持っているのだから、希望を失わずに生きていくようにと、われわれを励ましてくださっているのです。『道をひらく』は現代版の聖書であり、四書五経です。

本記事は、月刊『理念と経営』2022年1月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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