企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

母上、俺はちゃんとやるべきこと、果たすべきことを全うできましたか?

人間を食い物にして死ぬことのない鬼に対して、鬼殺隊の人たちは必死に自分を鍛えます。下弦の鬼の術は打ち負かせても、常日頃の鍛錬不足は、いざ上弦の鬼が現れると敗れてしまうのです。自分を甘やかすのは自分の中の「鬼」に支配されているからです。

生ぬるさから抜け出し鍛錬を惜しむな

「鬼滅の刃」が大ヒットしています。映画を見て感動しました。デジタル社会にあっても人間は自己の崇高性を求め、本来の自己の持つ可能性に向けて挑まなければなりません。志を高く持ち、たとえ難事にぶつかっても、人間は戦っていくことで鍛錬されていきます。
 主人公は審門炭治郎という少年です。家族を殺され、鬼になった妹を人間に戻すために、鬼殺隊の隊士となって鬼と戦います。炭治郎は決して強くはありません。しかし、人間を鬼から守るという任務を背負うことでやがて強くなっていきます。すべてのことをトレーニング・修練・修行と解釈する力を「現場力」といいます。生ぬるい考えから抜け出して、鍛錬を惜しんではいけません。
 また、現場力とは任務遂行力であり、遂行する意志の力が強ければ強いほど、成長するスピードも速くなります。特に、今は若者が未来を背負う時代です。会社にあってもどんどん経営革新を起こしてください。
 そのためにも尊敬し模戦とする人を目指してください。炭治郎はまず、自己のマインドを強くする必要を感じ、鍛錬します。映画では精神の核を強化し、呼吸によって傷を自力で治癒させていきます。
 この作品では、鬼と人間の戦いを通して「本来の人間の気高さ」が描かれています。同時に、現実の問題を直視せずに表面的な「居心地のよい夢」の中にいる現代日本の問題や、主体性の欠如も訴えています。そして、力があるにもかかわらず、自らの考えで物事を決めて実行に移そうとしない要因を「無意識」と呼んでいます。なぜ決意しないのかはその無意識がもたらすものです。

「精神の核」を強化し偉大な人物を目指す。

 主人公の炭治郎は、第一に、マインドイノベーションを意識して、絶えずマインドセットを可能思考に切り替える訓練をします。第二に、人に指示されなくとも主体的に行動を起こす力を鍛えます。
 日本の若者に自立より依存が多い理由は、父不在の母性社会に偏っているからです。過干渉となって子どもの自立を妨げています。中江藤樹という方は「愛」をテーマに人間の生き方を教えた歴史的偉人ですが、母性の行き過ぎを「姑息の愛」と呼び、批判しています。
 鬼を退治する鬼殺隊の柱の一人、杏寿郎の母は、心の支えとなる純粋愛を杏寿郎が幼いときに植えつけました。それが杏寿郎の生涯のバックボーンになるのです。その証拠に杏寿郎の命が尽きる際、母に尋ねるシーンがあります。「母上、俺はちゃんとやれただろうか。やるべきこと、果たすべきことを全うできましたか?」と。最愛の母が目の前に表れ告げます。「立派にできましたよ」。母の承認を受け、息子は安心して生涯を終えます。

本記事は、月刊『理念と経営』「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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