企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

時代の激変は、現場にも強い変革を求めています

時代は間違いなく大きく変わりました。いや、すでに変わっていたのです。人間や企業としての底流は絶対に変えてはいけませんが、時流を忘れたとき、われわれは社会から見放されてしまいます。

希望が輝いていれば前を向いて頑張れる

 人間にはどんな逆境でも困難でも、必ず耐える力が与えられています。『中庸』という書物には、その努力の有り様と心得が述べられています。
 「一旦行う以上は驚く実用して成し遂げることができなければ、途中でやめることはない。他人が一たびしてよくすれば、自分は百たびし、他人が十たびしてよくすれば、自分は千たびしてよくする。果してこのように努力してこの道を修得すれば、たとえ愚かな者でも正しい道を択んで、明らかになり、柔弱な者でも必ず強固になるものである」毎興昨製著『現代訳仮名中庸』コスモ教育出版)
 人間社会の進化は素晴らしいものです。しかし、すべての研究成果も、ニューテクノロジーの出現も、底流にあるものはそれらを叶えた人たちの弛まぬ努力なのです。
 七月二三日、オリンピックの大会組織委員会は、国立競技場で世界に向けて静かなメッセージを発信しました。競泳女子選手の池江璃花子さんに託しての内容です。深く感動しました。
「希望が遠くに輝いているからこそ、どんなにつらくても、前を向いて頑張れる。私の場合、もう一度プールに戻りたい。その一心でつらい治療を乗り越えることができました」
 一六歳で二〇一六(平成28)年のリオ五輪大会に出場した池江さんは、翌年、翌々年にも数々の記録をつくり、東京大会で活躍が期待された選手でした。しかし、一九(令和元)年に急性リンパ性白血病であると自ら告白し、厳しい闘病生活を送っていたのです。
 テレビに映し出される池江さんの言葉は、コロナ禍で塞ぎこんでいる多くの人たちを励ましたのではないでしょうか。二〇歳の若さとは思えない含蓄のある言葉でした。

従来の仕事の仕方を変えなければならない

 コロナ禍で時代が大きく変わりました。先が見えず、多くの人が困難の中にいます。特に生産性の面で、日本企業は課題を抱えており、従来の仕事の仕方を大幅に変えていかなければ大変なことになります。
 早稲田大学ビジネススクールの逮藤場元教授が、仕事は三種類に分けることができる、と弊誌のインタビューで話されていました(2017年12月号「特集仕事を改革する!」)。それによると、一つ目が「Do」で、「単なる作業」を意味します。二つ目は「Work」で、直訳すると「仕事」となります。作業に改善や改革を加えて効果性、効率性、生産性を求めるものです。
 三つ目は「Play」で、新しいものを創造したり、経営革新をして価値の高い製品や技術やサービスを提供することです。「Play」は社長や経営幹部の領域と思いがちですが、実は「D」の立場にいる人こそ、イノベーションを行う上では重要な役割を担っているのです。ある面、あなたは会社のキーマンかもしれません。
 時代の激変は現場にも強い変革を求めています。社長が経営方針を出しても、現場力が有効に活かされなければスムーズに動かないのです。「自分は勉強が嫌いだからこの仕事に就いたんだ」とか、「今のままでいいじゃないの」とか、「これ以上は無理だよ」という考えでは、職を逸することになりかねません。
 その理由はAー(人工知能)やー「(情報技術)、10T(モノのインターネット)の急激な進化です。数年前にイギリスの一流大学の教授が、こうした現象が起きることで通常の仕事の約四割強が失われるという論文を発表し、世界中が驚かされました。ぜひ、今の業務に改善・改革を加えて、現場力の強化を図っていただきたいと思います。

本記事は、月刊『理念と経営』2020年10月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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