企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

地位を得ても「修養」を怠ってはならない

コロナ禍で現場も大変です。あらためて仕事の有意義性を認識し、より業務の習熟度を高めるために自己修養が求められています。自己を高めた分、お客様や仕事に対する感謝や歓びは生まれるのです。

いくつになっても自己修養が大事

 世界大恐慌が起きた一九二九(昭和4)年は、新型コロナウイルス以上に世界中が混乱しました。成長途上の真っ盛りだった松下電器製作所(現パナソニック)も売り上げが急落し、思案にあぐねた幹部二人が創業者の松下幸之助翁に「人員の削減」を進言します。
しかし、このとき幸之助翁は「一人として解雇してはならぬ」と断言したそうです。このエピソードからも、常日頃から自己修養に努めている人と、「今さえよければいい」「ここさえよければいい」「自分さえよければいい」と、安易に仕事に取り組む人の差が、必ず人生のあらゆる場面で出てくるものです。誰もが楽なほうを選びたがります。のんびりしながら身をくつろがせることも大切でしょう。ところが、楽が続く人生は決してありません。人間は努力し、知恵を絞り、学び、自己修養した以上の人生を生きることは稀なのです。
 大恐慌を乗り切り、それを機会に飛躍していったパナソニックの創業者・松下幸之助翁は、次のように述べています。「しかるに若い人の間で「この仕事は自分の性分に合わない、あの主任の下ではどうも働きがいがない」と、不足をもらす人がある。これは自己中心のものの考え方の弊害であろう。真に自己の適所を見出すまでには、いろいろな経験を積まなければならない。また性格、意見の異なった指導者の下で自己を磨くことによってこそ、かえってよりよく修養が得られるものであることを、深く知らなければならないと思う」(PHP総合研究所編『松下幸之助「一日一話」』PHP研究所、3月1日「修養に場所を選ぶな」の項)

「修養」に場所を選んではいけない

 コロナ問題で逆境に置かれている現場も多いでしょう。しかし、幸之助翁が言われるように、常日頃から自己修養に努めていれば、必ず知恵は生まれてくるのです。かつて
「仕事を通して自己を磨く」という考えが日本社会にありました。見方によれば会社は自己修養の最大の場なのです。
 単に仕事のスキルを磨くだけではなく、どんな問題が起きてもその問題に挑んでい
ことが大切です。一時的な苦渋があったとしても、そこで人間力が磨かれていくのです。
 あきらめない力、果敢に挑む力、問題を解決していく前向きな創造性こそが、一時的な金銭の多寡よりも将来の大きな収穫につながるのです。
  私も最初の職場は自分の意思で決めたわけではありません。父の事業の失敗による不運で、父の借金の肩代わりで勤めました。入社したのが五九年前ですから、非常に厳しく鍛えられました。理不尽な扱いもしばしば受けました。しかし、今振り返ると、そこでの修養や訓練が自分を鍛えてくれたのです。時代遅れと思うかもしれませんが、このコロナ問題を考えると、不本意でも時や場所を選ばずに自己修養することも必要なのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2020年9月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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