企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

全員経営で問題に当たれば必ず道は拓ける

新型コロナウィルスの感染拡大で多くの職場が出勤停止という体験をしました。そして、現場が動かなければ、すべての経済は成り立っていないっことを知ったはずです。現場力が経営を左右すると言えるのです。

“素直さ”が出会いを本物にする

 小売業で世界最大の売り上げを誇るウォルマートは、創業者サミュエル・ムーア・ウォルトンによって築かれました。彼の成功の秘訣は「ないことを嘆かずに、ない分だけ創意工夫する」という単純なものです。幼少期より貧乏でしたが、その不自由を嘆かすに自由を求めて創意工夫したことが、彼を成功に導いたのです。
 1940年、奨学金でミズーリ大学を卒業後、彼は大手百貨店のJ・C・ペニーに入社し、そこで上司のダンカン・メイジャーズに鍛えられます。「人生は誰に出会ったのかで決まる」といわれますが、ウォルトンの人生を追ってみると、節々でいろいろな人との出会いが必ずあります。
 ダンカン・メイジャーズは仕事に厳しい人でした。無責任な所作は一切許さなかったようです。しかし、ウォルトンの偉大さは、厳しさに潜むメイジャーズの愛情を把握していたことです。メイジャーズも、何事にも「一生懸命」に取り組む若きウォルトンを厳しく指導するとともに、こよなく愛し面倒を見て育てたのです。
 このように成功している人は、必ずと言っていいほど、自分の能力を発見してくれる人や、窮地に陥ったとき人一倍面倒を見てくれる人に出会っています。ただ、その出会いを本物にするには、あなたの素直さが必要になってきます。自分の不足しているところは何か、この人が期待していることは何か、自分がその期待に沿うような仕事をするには何を学ばなければならないか、こうしたことを瞬時にイメージする力が現場力なのです。
 本誌六月号の佐藤可士和さんの文章を読み返してください。仕事力の原点とは「相手に対する気遣い」と述べています。仕事で伸びる人と伸びにくい人の差がここにあるのです。サミュエル・ムーア・ウォルトンは上司への気遣いだけではなく、お客様への気遣いで世界一になったのです。

一人ひとりが使命を持つべき時代

  コロナ問題は、いろいろな課題をわれわれに突き付けます。企業が大きく舵を切らないと、従来の発想では生き残れないでしょう。
 現場は、お客様に一番近いところにいる人たちの総称です。今後はますます「現場に答えがある」という時代になります。現場は絶えずお客様の表情を見つめ、声を聞き、消費動向や価値観の変化に敏感にならなければいけません。
 成長発展していく企業は、現場力の高さが強く求められます。現場の一人ひとりが自主性を持って、自分のミッション(使命)を持つべき時代になろうとしています。
 そのためにもさらに学び、技術や販売力、生産能力、用途開発などのスキルを上げてください。自分のために学ぶことは、家族やお客様、職場、そして一緒に働く仲間の一助となり、やがて社会への貢献となり、自分が勤める会社の存在価値を高めることにつながるのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2020年8月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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