企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

時代が激変するほど「真の実力主義社会」になる

毎年年末に「戦力外通告」をされた野球選手の苦悩が報道されます。ドラフト一位でもプロの世界は過酷です。第十六代アメリカ合衆国大統領リンカーンも、何度も戦力外通告を受けますが、決して投げ出さなかったのです。

一億円プレーヤーでも戦力外通告される

 毎年年末になると、各プロ野球軍から「戦力外通告」を受けた選手たちの番組が放送されます。翌年の指名獲得争いに挑む姿を追うドキュメンタリーです。
 企業経営も人生も、似たような光景が繰り返されています。時代が激変するほどこうした「真の実力主義社会」が到来するのです。
 ある書物で平均年収186万円の層を、「アンダークラス」と呼ぶことを知りました。人手不足が続いていますが、その一方でこのクラスの人が、日本には930万人いるのだそうです。まるで戦力外通告のような印象を感じました。
 そして、こういう人が増えてくるのがこれからの時代です。働く人を企業が守り、働く人たちが企業を発展させていく・・・これはいい意味で日本の伝統文化でしたが、最近はそういうことを言うと「あなたはセンチメンタルな人ですね」と、周囲にばかにされそうです。
 アンダークラスに入る人の共通点は、①育った家の中に本が10冊以下しかない、②転職を繰り返してきた、という二つの条件がそろっているそうです。
 若年・中年アンダークラスだけでなく、老後アンダークラスも増えており、厳しい社会が目前に迫っています。せっかく必死に働いて貢献しながら先が見えないのは残念です。

リンカーンは戦力外通告の度に挑んだ

 リンカーンは七歳のときに父親が財産のすべてを失うという経験をしています。小さなころから独学で自助努力をし、自らの力で道を切り拓いていきますが、決して生易しいものではありませんでした。
 結婚後に生まれた子ども四人のうち三人を失い、妻は精神疾患に侵され、あまりの病の重さに、彼自身も陰鬱状態になります。
 経営者、民兵隊、弁護士、選挙でも幾度とない「戦力外通告」を受けています。
 しかし、挫折をばねに、1860年の大統領選挙で、奴隷制の可否をめぐる不穏な中、奴隷制禁止派のリンカーンは、「アメリカ独立宣言」で謳われている、「生命、自由、及び幸福の追求」に対する権利は、権利を要求するまでもなく平等であるべきだという主張をします。容認派のダグラス候補に敗れそうになりながら、共和党の支持を得て、かろうじて盛り返し、民衆からの「戦力外通告」ではなく「圧倒的多数」の支持を得て圧勝したのです。第十六代アメリカ合衆国大統領の誕生です。
 しかし、不幸にも翌年南北戦争が勃発します。1861年4月12日、南軍は北軍のサムター要塞の連邦軍守備隊を攻撃し、陥落させます。リンカーンの行動は素早いものでした。直接戦争を指揮する意思決定を下し、反乱を鎮圧するために全体戦略を策定します。

本記事は、月刊『理念と経営』2020年5月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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