企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
現場力
2020年4月号
無理だと思う思考回路が「ぐずぐず癖」を助長する

人間の本能は、活用次第で最大の効果を生みます。「すぐやる習慣」を持った人が集まると最強の現場になり、「ぐずぐず癖」が抜けない現場は、不良品や無駄を生み、報連相をと滞らせるなど、企業生存の停滞を招きます。
右手にビジョン、左手に問題意識を!
「すぐやる習慣」「やり抜く習慣」「結果にコミットする習慣」を全員が身につければ、企業経営は鬼に金棒です。
「鬼」とは企業のビジョンであり、人間にとっての大きな喜びです。希望にあふれ、モチベーションが上がり、全員がハッピーで仕事も楽しくなります。これらは人間が本能的に求める快楽なのです。
「金棒」とは人間が求める本能的な快楽を得るための力のことです。企業はいつの時代にもリスクにさらされ、いつ、何が起きるか分からない状況にあります。絶えず脅威にさらされているのです。だから「すぐやる習慣」「やり抜く習慣」「結果にコミットする習慣」を身につけた人が、金棒役として強く求められているのです。
人間は本能的に脅威やリスク、外敵の侵入を恐れ、嫌がります。人類が生き残れたのは、われわれの祖先、ホモ・サピエンスが「鬼に金棒」を身につけていたからです。会社によって異なると覆いますが、誰もが共通に一番恐れるのは客数や売り上げの減少、経営破綻です。働く場所がなくなった体験をした人の話を聞くと、自己喪失感を覚えたという返事が一番多いそうです。
ただ、どの会社でも問題はあります。例えば、快進撃を続けていた会社が、四割の売り上げ減で突如危機を迎えました。原因は、恐怖を感じる機能が麻痺していたからです。「イケイケドンドン」でメディアなどにあおられ、人間の本能を活用できなくなったのです。このように、問題意識が皆無となり、窮地に陥ったという事例は山ほどあります。
右手にビジョンを持つことは大事です。人間は快を求めますから企業経営に不可欠です。しかし、左手には問題意識が必要です。人間は恐怖から回避できる知恵を持っています。
問題に縛られずに解決策を考える
問題意識の根源は恐怖という人間の本能です。ある面、危機をキャッチするセンサーを人類は人類は持っていたから生き延びてきたとも言えます。しかし、問題に縛られすぎると「すぐやる習慣」は身につきません。
問題は宝の山であると述べたのは、経営の神様と呼ばれた松下幸之助翁です。つまり、問題を前向きに考えて熱意を持って解決策を探求する態度が、社長にも、幹部にも、現場にも絶対不可欠なのです。
仮に、自社のトップや上司があなたを叱ったりする場合、問題を他人事のように感じる人がいるかもしれません。あなたの上司に「すぐやる習慣」もなく、部下の発表を真剣に聞くでもなく、無関心な態度で臨んでいる人を想像してください。管理力で述べた「スピルオーバー効果」で、こうした無関心さや無責任は全社に拡散されていくのです。
そうした無関心さをあなたが身につけてしまったら、決して「自分のため」にはなりません。決まって生涯を「ぐずぐず癖」に蔽われて、幸福な人生とは縁遠い生き方になります。一事が万事で、自分自身の人生を台無しにするだけでなく、家族やお客様や会社にダメージを与えていくのです。
ですから、「すぐやる習慣」「結果にコミットする習慣」は、誰かのためではなく、自分のために身につけた方がいいでしょう。自分の中に存在する「心のブレーキ」に気づき、学び、自己成長させていくべきです。
問題解決策は、大きな問題を細分化していくことから始めてください。そして、これが解決できたらどうなるか、期待感を持って挑んでください。払拭すべきは、「まだ時間があるから大丈夫」という油断です。プラスのマインドセットに切り替え、細分化した問題とにらめっこして、できる、できると自分に言い聞かせるのです。これは解決はできない、無理だと思うその思考回路が「ぐずぐず癖」を助長しています。
本記事は、月刊『理念と経営』2020年4月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
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